内容説明
捨てたはずの故郷に戻り、父が大金を持っているとの噂に踊らされた男。呆けて我がまま放題の母と猫の世話に煮詰まっていく女。売りつけられたスクーターに乗り、愛犬と骨を掘り出してばらまく少年。好きな女の先輩を安物の車に乗せて旅立ったプー太郎。夫のDVに苦しめられ、死んだチワワの骨を抱え岬に立つ女。北海道の風土に閉ざされた人間の闇をえぐる全5話。新境地を拓いた傑作揃いの短篇集。
目次
ちりちりと……
みゃあ、みゃあ、みゃあ
世界の終わり
雪は降る
青柳町こそかなしけれ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
99
北の大地 北海道を舞台にした連作短編集である。不夜城シリーズとは異なる 作風で、雄大な自然と 家族の愛憎劇が 哀しく描かれる。 どの人物も心に抱えるやり場のない 怒りのようなものをぶつけ、破滅していく …ひどく冷たい怒りと哀しみのオンパレードだった。2022/09/10
ちえ
44
作者の故郷、北海道日高。浦河―富川―苫小牧ー函館と太平洋沿岸を南下して少しずつ重なりながら繋がっている5つの短編。自然、風景の描写がとても美しい。最後の一編を読み、メビウスの輪のように不思議に連れ戻される感覚になった。函館以外は私にとって懐かしい土地でもあり入り込みながら、当時の事を思い出しながら読んだ。世界の終わりを作り出すために骨を埋める「世界のおわり」酷く凄惨なのに例えようもなく美しかった。2020/05/18
Tetchy
41
相も変わらず人生の落伍者を取り揃えた作品集。そしてこれらの人々が各話の登場人物と直接的間接的に関わっているところに考えさせられる。つまりこれは普通の暮らしさえ望めない人が周りに必ず一人はいることを示唆しているように取れる。あなたの隣にいる人も何らかの問題を抱えて毎日を生きているのだというメッセージ、いや気付かない事実を教えられたようにも思える。本書のタイトルは『約束の地で』で発表は2007年。馳氏は北海道出身で作家デビューが98年。故郷に錦を飾るというが、馳氏は本書を以てそれを成したということだろうか?2013/07/18
kawa
34
著者自らの出身地を舞台とするノワールの連作短編。私の日常、身近な横で生活している平凡と思える人々が次々と登場するのだが、北国の重く暗い季節と環境の中で、ちょっと歯車が狂うと非日常の世界に転落してしまう。そんな怖さをひしひしと感じさせられる。最終で登場する焼肉屋の「マコっちゃん」が第一話の主人公として登場する無限ループ、ここに嵌ったら怖い、でも憑かれてしまいそう。短編五作とも印象がくっきり残る著者のシンプルで卓越した表現力が凄い。2020/04/10
James Hayashi
24
短編集であるが、登場人物でリンクしている5編。最初の2編を読んで嫌気がさし、それぞれ希望のない終わり方でありながら、読み応えを感じもっと読みたくなる作品であった。著者の出身地なのかどれも苫小牧近郊のストーリーで、雄大な大地というより、物悲しく冬の寒気に閉ざされた湿った大地を感じられる作品。個人的には最終話で突き放したような終わり方でなく、ハッキリとした結末を見せて欲しかった。短編ながら作者の力量を感じた。 2016/02/10




