幻冬舎文庫<br> マグネット

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幻冬舎文庫
マグネット

  • 著者名:山田詠美【著】
  • 価格 ¥495(本体¥450)
  • 幻冬舎(2018/08発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784344402355

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内容説明

借金の返済を迫られて殺人を犯した男を匿う黒木。中学校の資料室で教師から猥褻行為を受けていた事件を回想する由美子。そして義弟の死の周辺を克明に描き、まさに掉尾を飾る「最後の資料」。罪の意識はこれほどまでに人間を洗練させるのか? そして用意された罰は時として人を輝かせる。法の裁きではない。殺人、放火、売春、のぞき、強制猥褻……極めて個人的で強烈な9つの罪と罰を収めた傑作短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夢追人009

143
山田詠美さんが男と女の「罪と罰」をテーマに書かれた9つの物語短編集です。そうですね、厳しい状況が書かれた作品の間に冗談やホッと安らぐ話も入っていますね。ラストの「最後の資料」は唯一の私的なノンフィクション作品ですが、山田さんは悲しい席でも冗談や何かを話して場を暗く沈ませない様にと努められるタイプだという事で、その事が作品の全てを語っている様に思いますね。だから読者は悲しみだけでなく頑張らなくちゃと現実に立ち向かう明日への活力と希望が得られるのだと思います。時間を置いて再び読み返したい作品集だと思いますね。2020/12/24

ヴェネツィア

86
9つの作品を収録する短篇集。いずれもきわめて都会的なセンスにあふれた物語だ。この意味では特には「YO-YO」(東京)、ニューヨークを描いた「瞳の致死量」、パリを舞台にした「COX」が光る。「瞳の致死量」は、ヒッチコックの『裏窓』を思わせるが、これは当然それと知っての山田詠美の仕掛けだろう。前の8篇はいずれも男女の物語だが、やはりそれぞれにタイプの違う女が秀逸。また、巻末に収められた「最後の資料」は、義弟への追悼作。彼女はこんな小説も書くのだ。そして、山田詠美はまさに義弟の「おにい」が言う「本物の作家」だ。2012/11/10

うわじまお

52
「ぼくは勉強ができない」に続いて読了。罪と罰をテーマとした9つの短編集。どの話も構成がとても上手だなあと感心しました。「熱いジャズの焼き菓子」「YO-YO」「マグネット」「最後の資料」が特に好きでした。2017/11/17

絹恵

42
脳が最も自由な器官なら、過去の矛盾を愛すことを赦してほしい、そして諦めの果てを抱きしめて離さないことに感情の混ざらない理屈がほしいです。罪を作るのはどこまでも人間の感情で、それは罪失くしては生きてはいけない人間の観念から罰の所在を求めるものでした。それでも、死は罰ではないと訴えるのは紛れもなく人間の感情。2014/10/14

*maru*

39
山田詠美初読み。短編集(全9話)衝動的殺人。計画的犯行。妄想的凶行。妄想の中での犯行も罪ならば、私も立派な犯罪者だ。ハミングのような軽やかな文章の中で自由に躍動する言葉の数々に感心したり大きく頷いたり。失くす・買う・覗く・語る・考える等々、著者が描く罪と罰。「人は、罪の手前ではなく、それを犯した後に自問自答をくり返す」そして「罪人と呼ばれる可能性は、いつだって私の内に潜んでいる」。『熱いジャズの焼き菓子』『YO-YO』表題作『マグネット』が特に好き。2017/09/06

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