文春文庫<br> 薫香のカナピウム

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文春文庫
薫香のカナピウム

  • 著者名:上田早夕里
  • 価格 ¥815(本体¥741)
  • 文藝春秋(2018/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167911386

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内容説明

日本SF大賞受賞の『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が、初めて紡ぐたおやかなる少女のビルドゥングスロマン&至高のファンタジー。

生態系が一変した未来の地球。その熱帯雨林の〈カナピウム〉と呼ばれる地上四十メートルの林冠部で少女は暮らす。
豊かなる生態系を誇る樹上には多彩な動植物が集まり、少女たちは彼らが発散する匂いを手がかりに、しなやかに樹上を跳び回る。一方で、彼方には銀糸のごとく煌く軌道が見え、森の住民には作れない先端テクノロジーも存在する。
ある日やってきた旅の者たち。そして森に試練が与えられる――。

解説・池澤春菜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

57
帯の言葉から、もう少し恋愛色が濃いファンタジーなのかと思いましたが、独特な世界観のSFでした。オーシャンクロニクルとは違う未来の姿なんでしょうね。主人公の〈少女〉愛琉の名前が、知り合いの小学生男子と一緒で、どうにもしっくりこなかったです。でも物語が進むにつれて〈少女〉たちの名前が、女子よりではあるけれど、中性っぽい響きになっている理由もわかりました。それぞれの道に分かれた人々が、この後どのような進化を遂げていくのか。続きを読んでみたいです。2018/10/08

akio

31
鬱蒼とした熱帯雨林で暮らす少女の物語。ファンタジーかな、と思ったら上田作品、やはりSFでした。廻り合わせによる住み分けとか、鞘で産む?誰が?など、その世界観は独特で練り込まれています。正直、驚いてばかりでした。本作だけで良い纏まりですが、連作の始まりであって欲しいなと思います。ナウシカ(漫画版)好きな方にオススメです。2019/05/09

hide

21
本を開けば、そこは森の気配。まるでジブリのような舞台に、森に暮らす生命の香り。少しずつ明かされる生態系が一変した地球の秘密。人類が他の形態に変化しなければ生存できないとしたら、その変容が身体だけでなく、精神まで及ぶとしたら、我々は何を思うのだろう。人間としての自由を放棄し、別種の知性を獲得する。その思考を美しいと思えるのか?これもまたファンタジーの顔をしたSF。2021/06/23

まめ

17
熱帯雨林で仲間と共に暮らす主人公の愛琉。森に成る果実を食べ、足りない物は物々交換で手に入れ、ときにはほかの部族と共生・衝突する。「おお、ロマン溢れる冒険譚」と思いきや、そこは上田さん。徐々にSF要素が顔を出してくる。個人的には後半が駆け足気味で消化不良だったので、前後編に分けてもう少し密度の高い仕上がりにしてほしかったなぁと思う。こんなに魅力的な設定であれば分けても薄まらないだろう。森と生き物の濃密な匂いが感じられる作品。彼女たちの未来が明るいことを願う。2019/03/22

NAOAMI

14
未来の地球。熱帯雨林、木々の上(林冠)で暮らす部族の物語。特殊な仕来たり不思議な暮らしぶりが興味深い。雌雄逆転、両性具有?読者の固定観念が覆される。木々を跳びまわる移動手段の描写が臨場感。一方、一発勝負のお見合いのような出会いと心の揺れも。神立場のラクササが創造主として彼らの暮らしに恣意的な変化をもたらす。幸せな生活が一転、急展開して、多くの謎が解明され部族はある選択を迫られる。テンポ良すぎて描写が薄く物足りない。2倍量で読みたいスケール。太古の昔だった?と思わせるラスト、少女の未来への視線かイイだけに。2018/12/05

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