内容説明
古書店に持ち込まれる謎を無頼派店主があざやかに解決! 関東大震災で職を失った17歳の石嶺こよりは、仕事を求めて神保町の裏通りにある小さな古書店の戸をたたいた。ぼさぼさ頭の無愛想な店主・根来佐久路は、本業の傍ら「萬相談」を受けているらしい。解決のヒントになるのは芥川龍之介『羅生門』、谷崎潤一郎『秘密』、そしてあの文豪も登場して――謎と秘密を「本」で解き明かす、大正古書店ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
251
5話連作短篇。時は関東大震災の翌年なので大正13年(1924)ですかね。所は東京は神田神保町。ねんねこ書房は書籍の売買だけでなくって“萬相談事承り”もしていて。それがストーリーを転がすよ。明治の末から大正の初めの方に刊行されたものが話のキーになっている模様。倉庫も兼ねた建屋には赤茶色の虎猫もいるみたいなのですけど全然活躍しないの。屋号だけなんですね。もうそんなの、商品をバリバリしたら良いと思いますよ。店主の妹さんとその子供たちの事など、分かり易い伏線が残っていますから、続編あるのかなぁ〜。2025/03/13
nobby
146
とにかく全てにおいて軽快。大正時代の古書店を舞台にした「本」による謎解き。どこか既視感あるのは置いといて…まず一番の違いは、あっちはドロドロだけど、こっちは極めて爽やか。萬相談への「世界の答えは、すべて書物の中に書かれているのだよ」という解明も、文豪や作品から真相探るのではなく、すこぶるキレ者探偵がもうアテがついている事柄を内容と重ねて語り手女子に読ませる展開が微笑ましい。取り上げられる本も芥川龍之介『羅生門』や谷崎潤一郎『秘密』など何とかついていけるのもいい(笑)雰囲気のまま続編あるなら手に取りたいな♬2021/04/30
佐島楓
63
うーん、なんというか、謎解きが入門編のような感じだったし、こよりがどの程度の教育を受けてきた女の子なのかという重要な点について言及がなかったように思う(読み落としていたらこちらのミスです)。関東大震災一年後という混乱した時代の中で移り変わる風俗というところは好みだった。これからこよりは大人になっていくのか?2018/09/16
ami*15
55
比較的ベタなテーマでしたが、久しぶりに伽古屋さんの大正時代ミステリーが読めたのは嬉しかったです。5つの有名小説をテーマにした謎が描かれ、ねんねこ書房に日々持ち込まれる謎を様々な本からどう紐解くのか、各作品の小ネタと共に展開される謎解きが面白かったです。個人的には「羅生門」を巡るエピソードが興味深かった。本に関する小ネタと小さな謎解きが楽しめた一方、こよりが新たな職を探すのに苦戦する様子をはじめ、震災によって運命を変えられた人々の話も印象強い1冊でした。佐久路の妹の話は悲しさと複雑な思いで一杯になります…。2019/01/09
ミーママ
43
図書館の本📚 初めての作家さん。 サクサク読めて面白かった‼️ 大正ロマン、いいな❗続編がありそうな終わり方だったけど・・・ 2020-1362020/11/29