内容説明
海洋化学の眼で解き明かす『地球最大の海』のふしぎ。ロングセラー『日本海 その深層で起こっていること』に待望の姉妹篇が登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
どなたかもどこかで書いていたように思うのですが、宇宙よりもまだまだ地球にはわからないことが数多くあると思われます。その中でも海洋とくに太平洋をここでは取り上げていてその最近の状況などを知らしめてくれます。やはり非常に深いということで特に日本の周りでもかなり深海になっているということで、日本の領海の体積では世界でもかなり上位になるということです。また天皇海山群という昔の天皇の名前を付けた海の中の山脈があることも初めて知りました。好奇心を満足させてくれて楽しめます。2024/11/04
めんま
26
地球最後のフロンティアは深海である。特に、水深6000メートル以深の超深海と呼ばれる空間は、強烈な水圧などの関係からほとんど調査の手も届いていない。そんな未知の世界である深海における海流の仕組み、海底の動き、海底調査の歴史などが楽しめる。ロマンを感じた。2021/08/07
Arisaku_0225
22
前著『日本海 その深層で起こっていること』同様,今度は太平洋について主に地球科学や化学を中心に,海の底はどうなっているかを解説.前著よりもより「誰が」「どんなこと」を研究したのかに力点が置かれているような印象を受ける.当たり前のことなのだが,研究活動というのも人間がやってきて,今知っている知見は必ず誰かしらの功績によるものだ.自分の学んでいる先生の名前もあったが本書を読んで初めてその人のすごさを知ったり.2024/06/12
羊山羊
17
太平洋のそのあまりに大きなダイナミックさを、主に地底の動きに焦点を合わせて解説する。興味深かったのは、戦後すぐに活躍したアメリカ地質学者ロバート・ディーツ氏。天皇海山群を発見、命名したという彼の業績が、本著の隠れた骨組みになっている。名前を覚えながら読んでほしい。面白かった。2022/04/29
Kentaro
17
深海底にはふつう、ごく少しの生物しか棲んでいません。理由は明白で、餌がないからです。ところが、深海の熱水噴出域のまわりには、びっくりするほど大量の生物がいます。その秘密は、熱水に含まれる水素やメタン、硫化水素などの還元性物質からエネルギーを取り出して、有機物、すなわち自身のからだを合成できる微生物がいます。光合成ならぬ、「化学合成」とよばれる現象です。熱水噴出域のような特殊な環境において、このような化学合成微生物を一次生産者とする食物連鎖系が確立されると、そこで信じがたいほど大量の生物が繁栄できるのです。2018/10/02