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内容説明
2017年にはじまった「#MeToo」ムーブメント。数々の有名人、権力者たちが糾弾・告発される中、フランスでは女優カトリーヌ・ドヌーヴら100人の女性たちが反対声明を発表した――。この時代にいったい、なぜ? 出生率2.01人の子どもを産み、育てやすい国。たとえ高齢者であってもセックスレスなどあり得ない国。大統領も堂々と不倫をする国。「性」におおらかな国・フランスの現在を、在仏ジャーナリストが描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
25
教会による性の抑圧の一方で、騎士道恋愛やリベルタンなど、婚姻からの逸脱の長い歴史を持つフランスの、性への両義的な態度を分析しながらドヌーブの#metooへの反対の声明やミッテランの「それがどうした」を読み解く過程が面白かった。五月革命とエイズの流行が性の解放と性教育に与えた影響の大きさも。性に潔癖なピューリタンの建国した米国がmetooの発信地なのは偶然でなく、フランスでそれが必ずしも受け入れられなかったのもよくわかる。完全な同意さえあればいいのか、セックスはもっと複雑で謎に満ちているはずという著者に同感2018/11/05
でかぱんちょ
13
【図書館本】ここ数年の「#MeToo」ムーブメントに対してフランスで有名女優らが反対の声明を出したことが本書に興味を持ったきっかけでした。前半2章は自分が思っていた内容と違っていて「フランス版の川口マーン惠美みたいな本かな?」と思いましたが、後半は色々考えさせられる内容で興味深かったです。ただ混雑した電車の中では読むのに勇気がいりましたが(笑) 一概に「文化が違うから」の一言で済ませてしまうのはどうかな・・という印象でしたが、今回はこれ以上の個人的感想はここまでにしたいと思います。2019/02/22
Yukiko
12
読むのが難しい本ではないのに、時間が掛かった。現代フランス人の孤独に裏打ちされた自由で充実した性について、17-18世紀の歴史や哲学から説き起こして、古いところは専門家も多くいるだろうから書くのは大変だったろうと思う。 フランスではモラルによって自由な恋愛を批判することへの忌避がある。これにはキリスト教との熾烈な戦いの末に得た理性の勝利、という背景があるということか。2023/06/03
パトラッシュ
10
様々なフランス恋愛小説を読んできた身には、まるで別の国になってしまったような衝撃だった。人生を楽しむのを第一とするフランス人と、セックスレスになっても漫然と夫婦関係を続ける日本人は異星人ほど違う。どちらを選ぶかで好みがはっきり分かれそうだが、お気楽な独り者で女性との交際はたまにという当方はフランス流が合うかも(フランス語は話せないが)。ピューリタン的に厳しいアメリカ流は息が詰まりそうで、クリントンも泣くわけだ。なお122頁に「1964年、ケネディ政権下で公民権法が」とあるのは「ジョンソン政権」の誤りです。2019/08/01
taka
8
男女平等より性差を大切にする背景、宗教と女性蔑視の歴史、フランスと日本におけるセックス事情の比較は面白かった。極論、性にまつわる事情なんて人それぞれだが、統計の比較でフランスと日本の結果がこうも違うのかと驚いた。日本の仮面夫婦はオトコやオンナを捨てても「義理」の関係維持ができるが、フランスではそれら捨てた瞬間に関係が破綻する。性に寛容でありつつも、当事者の夫婦はシビアな関係。性教育に関しては、根拠のない羞恥心は排除され、大人と同じ愛を学ぶ。出生率等、統計の結果のみ持ち出すのはNG。語るには文脈の共有が必要2019/01/28