内容説明
水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。だが、温泉で出会った女・カツ子が自室の西洋風呂で見せる、若く奔放な姿態に溺れる。地方の名士である男は、都会的なものの虚飾に魅せられて破滅の道をたどり、やがて殺人を招き寄せていく! 地方政界に渦巻く欲望と利権を描くとともに、“アリバイ崩し”にも挑んだ本格推理長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
63
まだ西洋風のバスタブが珍しかった頃の地方都市が舞台の、東京暮らしをしたことがある社会派きどりの主人公が陥った悲劇を描いたミステリ。この事件のトリック、今ではとても考えられないものなのだ。古風な生活形態と、その時代においては最新式であったこと。なんとも奇抜なトリックだが、本当にその通りになるのかどうか。2023/03/08
竹園和明
33
造り酒屋の3代目店主で市会議員でもある義介は、週刊の市政新聞社も経営している。舌鋒鋭い批判ぶりが圧力となる為議員らから疎まれるような新聞だ。ある日そりの合わない人物の市長選挙立候補の噂を耳にし、秘密裡に調査を重ねこれを阻止するために策を講じるが…。多忙な中、取材先で知り合った女に溺れ、また裏切りに合い精神のバランスを失い堕ちて行く…松本清張お得意の人間描写だ。1971年上梓作。横臥式の西洋風呂が出始めの頃か。アリバイのトリックになるこの部分をもっと膨らませれば、もっと面白い作りになったかも知れない。2017/04/16
ランラン
10
題名とストーリーが繋がった。清張の本を数十冊読んできたが題名を見て話し内容がどんなだったか思い出せない作品が多い。すなわち題名をみただけで内容とつながらないからである。どのように殺人を暴くか。犯人は特定できていてその手法に焦点が移った刑事コロンボ風で面白かった。 2022/05/26
ササヤン
5
西洋風呂といういかにも時代がかった名称が色っぽさを醸し出す。現代では、そうした場所はソープランドだろうか。現代では、この頃のように、風俗嬢と一夜を過ごすということはまずない。よっぽどの大金を積まねばならない。所詮はバイトと割り切っている女の子が多い気がする。しかし、そこで働く女、そこに行く男の欲望は変わらない。本物の愛だと、勘違いさせる女、勘違いする男の心情も変わらない。殺人トリックはやや場当たりで、他の著書の作品よりも稚拙な気がした2020/01/18
裕由
5
山口県の湯田温泉かなと想像しながら読みました。松本清張にはめずらしく、全体を通して色っぽい感じがしてよかった。殺人シーンは最後のほんの少し。2019/09/06
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