講談社現代新書<br> 戦乱と民衆

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講談社現代新書
戦乱と民衆

  • ISBN:9784065122181

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内容説明

白村江の戦い、応仁の乱、大坂の陣、禁門の変――。民衆は戦乱をいかに生き延びたのか? 戦乱は「下克上」のチャンスだった!? 民衆の被害に国家は関心を持っていたのか? 『京都ぎらい』の井上章一氏も交え、日本史研究の風雲児たちが描く、英雄中心の歴史とは異なる、民衆を主語とした日本史!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

234
4人の歴史学者が行った講演会の抄録。幕末、長州が会津、薩摩藩などの連合軍と戦い京都のほとんどが焼失した「禁門の変」。これまで町の約6割が焼けた、とされていたのが、発見資料から町屋27,513軒、髪結い床(床屋・美容院)132軒など細かい数字があきらかになった。最後の一軒まで執念をもって勘定したこのデータは凄い! これは「京の町奉行所が町年寄などから上がった被害情報を直ちに書き上げるシステムが、江戸時代を通じて出来上がっていた」からだ、という磯田道史氏の指摘に感動した。2020/10/07

佐島楓

69
日本の歴史は時の権力者によって編まれてきた経緯があり、このような無名の人々の記録を参考にする研究は比較的最近のものであろう。これからはこうした視点がメインストリームとなってほしいという思いを強くした。また民衆=虐げられた人々というわけでも必ずしもなかったという概念は皆人間であったということであり、恐ろしくもあるが納得のいくものであった。2018/08/31

樋口佳之

26
たとえば新選組の視点に立って京都の幕末を見る人はきわめて多いのに、先ほどご紹介したような、夏の暑い盛りに腐った死体をひっくり返してお金を集め、新京極にお店を出した男の視点というのは、一切ない(笑)。しかし、彼にとってはそれこそが「維新史」/幕末の京都の民衆は逃げていません。もう一つ、幕末になると、戦いに参加する立派な武士たちは、少なくとも内戦に関しては暴行と略奪をしていないわけです。どこかで時代が切り替わっているんです。民衆が逃げなくなり、武士たちが略奪と暴行をしなくなる「境目」はいったいいつ2018/09/20

やまやま

25
倉本氏の万葉集についての説明は新鮮であった。確かに、和歌はどこまでポピュラーなものであっただろうか。当時の民衆が和歌という形態で考えや感情を表現できたのかという点は「よくわからない」が、もし感情を記録に残すとすれば、情愛が大きなウェートを占めることは何となく納得できる。白村江については、規模の想像が難しかった。福岡ー釜山250kmを手漕ぎで何万人もの人が渡っていくというのは、当時の日本の人口は数百万人と予想されているし、造船技術といっても遣唐使船が難破を続けたことを思うと、どういう部隊であっただろうか? 2020/10/07

こも 旧柏バカ一代

21
白村江の戦いでは徴兵された敗残兵は打ち捨てられ、壬申の乱では怪我人の記述があった。平安時代は平和であったが応仁の乱では民衆はそっちのけで内乱に明け暮れる。戦国時代になると武家の下請けの報酬として乱取りの加害者と被害者へと‥ 日本の庶民は被害者であり、加害者でもあった。そして、権力者は庶民への関心は薄かった。それを忘れてはいけないと思わされた。2019/01/27

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