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内容説明
平成の象徴天皇という立場にあって旅とはいかなる意味をもつか。国内外への旅、被災地への旅、慰霊の旅、和解の旅、島々への旅。その多くに同行した記者による異色のルポ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
50
「平成」もいよいよ大詰。長年、皇室を担当した日経記者が行幸啓に同行、見聞きしたことをまとめている。旅の意義や舞台裏、両陛下の心情などが推察されて興味深い。筆者は両陛下のお気持ちに深く共感しながらも、前例踏襲や警備などに疑問を呈している。また、”いつか来た道”になってはならないためのマスコミの責任にも触れている。先般、天皇が生前退位の気持ちを表明された時は自分も驚いたが、今は大いに納得している。戦後、”象徴”という得体のしれない立場とされた天皇が、真剣にその立場に向き合われたことは尊敬以外の何物でもない。2019/03/25
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
10
面白かった。 天皇の内外の旅に同行取材した記録。「天皇の政治利用を監視するのがマスコミの仕事」という観点が一貫して貫かれている。タブーのない、冷静かつ率直な内容で最後まで気持ちよく読み通すことができた。 明仁天皇夫妻が心を尽くして、人々に寄り添おうとして努力していたことを目の当たりにした著者は、率直に感銘を受けたと語っている。しかし、管理する側の都合で形式的になっている行事について徹底批判しており、それを記者として直々に宮内庁関係者などに伝えて、天皇の動き方の改善につながる例があったことには驚きを感じた。2019/12/30
niisun
10
『報道記者が見た「象徴天皇の旅」』とったところですね。著者の雑感的な部分については、いろいろ?な点もあるものの、天皇皇后両陛下と同じ時間同じ場所で、自らの目と耳、肌で感じてきた実録である点には、有無を言わさぬ力強さと、希少性があるように感じます。本書を読み、両陛下、日本の隅々や世界各地に、印象的な旅をされてきたのだなぁ~と、感慨深かったですね。その一つ一つの旅の積み重ねが、即位時には曖昧模糊としていた平成の天皇皇后のカタチを、大多数の国民が自然とイメージ出来るカタチに築き上げていったんだなと感じました。2018/09/06
Naota_t
5
#2150/★3.7/想像以上に面白かった。著者の中立的批判もしっかりしている。記憶に残ったのは、日本旗を振る奉迎者にサクラ、植樹祭(20億円)のために道路を作り木を伐採する矛盾、ソープランドの看板の目隠し、天皇と被災者の懇談に出しゃばる地元議員、「お言葉」と「お声がけ」の違い、数時間も奉迎のために立ち待たされる幼稚園児やお年寄りなど、キリがない。天皇が被災地・地方に行き、寄り添うことで報道され国民の記憶に残る。戦争が身近でない私は「天皇」に思い入れはほぼないが、象徴である天皇の務めの一端が理解できた。2024/08/12
乱読家 護る会支持!
2
「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」。象徴天皇の役割の一つとして、陛下が大切にされている事の一つ。 国内の旅、外国への旅、被災地への旅、和解への旅、慰霊の旅、島々への旅。象徴天皇として、旅を重視された。。。 被災地で膝をついて被災者の声に耳を傾けられるお姿。 僕は、戦後に象徴天皇になられたのではなく、過去からずっと、天皇陛下は日本国民の象徴であられたと思うのです。権力を持たず、ひたすらに国民の為に祈りを捧げられる存在が、この国の強さの一つであると思います。2018/12/27