内容説明
世界的に貴重な湿板光画と新しい日本論。
黒船ペリー提督随行カマラマンの一族である著者(エバレット・ケネディ・ブラウン)は、現代のフェノロサである。88年から日本に移住。EPA通信社の日本支局長として活躍後、幕末時代の写真技法である湿板光画で「時を超えた日本」の記録に取り組んでいる。神道、芸術、匠、公家、山伏、縄文など、日本の精神性の本質を見抜き、美しい湿板光画(幕末時代の写真技法)と文章で見事にまとめている。明治維新150周年の今、縄文時代から脈々と続く日本の素晴らしい「精神性」と「身体感覚」を現代の日本人に伝える。
著者は京都ジャーナル寄稿編集者、文化庁長官表彰(文化発信部門)受賞者、首相官邸や経済産業省クールジャパン官民有識者会議委員、諸省庁の文化推進カウンセラーを務める。公家の近衞忠大さんらと設立した会所プロジェクト理事、京都府観光推進顧問、 IBMビジネス&カルチャーリーダー会議の世話人、日本文化デザインフォーラム幹事、駐日米国大使館写真講師などを務める。著書に『俺たちのニッポン』(小学館)、『日本力』(松岡正剛氏との共著・パルコ出版)、『Japanese Samurai Fashion』(赤々舎)など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
26
留学中に東北の自然に魅せられ、そのまま居ついてしまった米人写真家。手間隙を要する湿板撮影にこだわり、感動のルーツに明治以前の日本文化であることを発見する。民俗学、文化論、ナショナリズムに話題は及び、軽々に移民解放を唱える。それはともかく、雅味あふれる写真の数々。伝統的と称するものは当時では新しく異質だったもの。この湿板写真も当時はハイテクの塊、人々は狂喜熱中しただろう。日本人の特質は良くも悪くもアーカイブ能力。時代時代に解凍して遊べる資質は、これを可能にしている豊穣な土地と自然の賜物。それを今蝕んでいる。2022/02/17
紫羊
20
著者はアメリカ人のフォトジャーナリスト。1959年生まれで1988年に日本に移住しているから、アメリカより日本での生活の方が長い。この本も日本語で書かれている。湿板光画という技法で撮影された写真も多数掲載されていて、その中でも日本人の表情がどれも素晴らしい。面構えという言葉が相応しい。2018/09/30
Sakie
16
様々な分野の文化人と交流する機会を持ち、既に上澄みのような伝統文化から土着の信仰まで、随分ご存知だ。一口に日本文化といっても、土地柄、時代それぞれに在り方があるのが、流行り廃りを繰り返しながら形も変えながら続いてきたとみるべきだ。根がそこにあるとはいえ、縄文を始点、明治以降を断絶とする大枠すぎる捉え方は興味深い一方、こればかりの文章にぶつ切りな印象を与える理由でもある。あと、開国以来、外国人が皆日本文化を絶賛してきたかのような表現、ピューリタン精神と武士道がつながっているという解釈は中々受け入れがたい。2018/10/25
yutaro13
13
幕末時代の写真技法である湿板光画で「時を超えた日本」の記録に取り組む著者によるフォトエッセイ。随所に散りばめられた写真を眺めているだけでもどこか懐かしい気持ちにさせられる。アメリカ出身ながら日本在住歴が30年を超えるとあって、著者の日本への愛が強く感じられる本になっている。一方で日本文化から「身体感覚」が排除されてしまっていることへの危機感も強い。「クール・ジャパン」などは外国人からすると文化の安売りに見える、とはデーヴィッド・アトキンソン氏とも共通する見解だろう。日本人として無自覚でいられようか。2019/02/05
とりもり
7
ペリーの黒船に乗ってきた写真家の末裔が、その時代と同じ技法(湿板写真)で撮影した写真がとても美しい。特に、雨粒が落ちたことで星のようになった写真の偶然美は、現代のデジタル写真にはない美しさ。日本文化礼賛が続く本文はちょっとアレだが、外国人の視点からの意見なので単なるナショナリズムともちょっと違う。でも、本来日本が有していた多様性が失われつつあるという危機感には同意する。勝者総取り的な単純化が全ての分野で進行する中、文化の多様性をどう維持するかという重い課題を、現代日本はどう解決するのだろうか? ★★★★☆2019/03/07
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