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内容説明
タフな男であるはずだった。
ちょっとぐらいの骨折なら、
何もいわずにゲームに出ていくような男だった。
そしていつものようにプレイして、
けろりとしている男だった。
“鉄人”にふさわしいエピソードをいくつも残していた。
その鉄人の、心の内側は、
とてもナイーブで傷つきやすく、繊細だった。
それが見えたとき、
人はこの鉄人を好きになるのだろう、と思われた。
(「バットマンに栄冠を――衣笠祥雄の最後のシーズン」より)
衣笠祥雄、星野仙一、根本陸夫、東尾修、荒木大輔、落合博満、田淵幸一、江夏豊。
昭和のレジェンドの素顔に迫る、山際淳司・プロ野球短編傑作選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
今は亡き山際淳司の名選手に関するエッセイを再編集したもの。「名将」、「名投手」、「強打者」、「引退」の4つのジャンルに分けられ、9つのエッセイから成る。こんなタイトルだが、これはそのうちの最も長い1篇。私のようなロートル(こんな言葉、わかるかな?)にとっては懐かしくも、綺羅星のごとく輝いていた名前が並ぶ。この人に野球選手を語らせると深みと、そして何よりもプロフェッショナルであることの意味を再認識することになる。もっと長く生きて、その後の名選手たちー例えばイチローや松井、田中、大谷について語ってほしかった。2021/05/16
金吾
22
現役時代を知っている選手が多いので、思い出しながら読みました。村田、東尾、田淵、衣笠面白かったです。2023/10/03
ようはん
21
豪傑とか野武士とかの豪快なイメージで語られがちな昭和プロ野球選手。しかし、衣笠祥雄を初めそういったイメージの選手も繊細さは持っていたと見ると親近感が湧く。2023/10/12
miu
21
本屋さんで平積みされていて見逃せるわけがない、このタイトル。いいな野球ライター。わたしも山際氏みたいになりたい(夢は大きく) 。この本、衣笠氏だけじゃなくて星野氏や落合氏など、昭和のレジェンドがずらり。9人いたら9人それぞれのドラマがある。でもやっぱりここは衣笠祥雄よ。彼の最後のシーズンに何があったのか。子ども心におサルさんみたいだなーと思って見てた衣笠祥雄。彼はいつも笑っていた。野球のある国に生まれて幸せだなと思う。広島に生まれてよかったと思う。ここまで野球を好きになれてわたしってめでたいなと思う。2018/09/16
雲國斎
17
山際さんのスポーツノンフィクションは大好きだった。図書館で新書を見つけたので読んでみた。なつかしい。思えばこの本のタイトルにもなっている鉄人もあっけなく逝ってしまわれた。今頃天国で、山際さんと野球談議に花を咲かせているかな?2021/06/25