内容説明
「演劇」は役者が舞台で演じるものだけではない。一人でできる《発声》や《海の歩行》から、数人で行う《漫才》や《ものまね》、本格的なストーリーを展開する《ショート・ストーリーズ》まで、具体的なレッスンを手引きとともに紹介し、演劇の知恵を惜しみなく披露。硬くなった身体をやわらかくすれば、心もやわらかくなって、魅力的な「自分」を手にできる。第一線で活躍し続ける演出家が今の世の中に贈る大切な1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kana
9
演劇とはなんだ?―この世にない魂を見せることである。そのために役者は日常や自己を細部まで深く掘る。「教養がなければ文化を享受することはできない」と述べているだけあって濃密な内容で、興味深く読めた。演じるためには、まずは役と自分の違いを知ること。癖を取り払っても残ったその人らしさが個性。自分を見つめ磨くことは、演劇と直接関わらない一般の人にも良いのではないか?という思いで書かれた本。2019/09/24
バッシー
1
「演劇的教養」は就職面接や会社でのプレゼンなどでも役に立つだろう。小さいうちから演劇について意識してみるのは大事だなと思った。あとがきで外国の劇場,劇団の事情に触れていたが、そもそも「演劇」は外国から輸入されたものだから、日本の民衆レベルに浸透しなかったのかな?歌舞伎なんかの伝統芸能は特定の一族がやるもので閉鎖的なイメージ。2019/10/03
かす実
1
これはタイトルと装丁に反してすごく勉強になった。筆者が演劇的教養と呼ぶスキルは、洞察力だったり、それを自分の身体に適応する力だったり、普段は無意識化している自分の感情や所作をコントロールする能力だったりする。それらを鍛えるための具体的なトレーニングが紹介されてるのがこの本。俳優ってとてつもなく人間が好きな生き物なんだなと思う。「自分がどう在りたいか」を精神面から考えるのが哲学だとしたら、身体面から突き詰めるとそれが所謂演劇的教養になるのかな、と思う。2019/08/24
たろーたん
0
演劇的教養は、まず「私」から始まる。「役」ではなく「私」を考える。いきなり、「ロミオはジュリエットと離れ離れになる運命を呪って、どんなふうに嘆き悲しむのか」と考えてはいけない。それよりも、私を知らないと、役の足場を構築できないし、自分と役との距離感が分からない。露身を役で恋の成就を喜んで笑う時、自分が恋が成就した時にどういう状態になるか分かっていないと「演じられない」。2019/12/23
梨
0
とても面白かった。「演劇」について習ったことも抜き出して考えたこともなかったので、すごい勉強になった。2019/11/08