内容説明
幼いとき犬にかまれ、左腕が不自由な小学六年生の少女・月岡愛。母を亡くして居場所を失った彼女は、仲良しの大型犬デンを連れて行方不明の父を探す旅に出た。暴力が支配する無法の世界で次々と事件に巻き込まれながら、不思議なご隠居さんや出会った仲間に助けられて危機を乗り越えていく愛。近未来の日本を舞台に、勇気と希望を失わずに生きる少女の成長を描く傑作ジュヴナイル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
110
主人公の愛は、幼い頃に野良犬に噛まれ左腕が不自由な女の子。12歳で母親を亡くした愛は、行方をくらませた"父親探し"の旅を決意する。差別と偏見の世界から一歩を踏み出した“左側”には犬が寄り添い、出会いと別れを繰り返す。読み終えると『旅のラゴス・少女版』のようでした。愛が望んだものは、賞賛の声でも、使い切れないほどのお金でもなく、一緒に過ごす時間、抱きしめてくれるぬくもり、おかえり!の声。父親探しの冒険からの卒業は、愛が庇護者から大人へと成長した証。どんな困難も乗り切って!と背中を押したくなる本でした!★4 2021/12/03
いこ
98
少し未来の日本。世の中は物騒で、道には死体が転がる。主人公愛は、母を亡くし、出奔した父を探す旅に出る。愛は左手が不自由だ。それで、優しい人々は皆「ひだりがわ」に立って歩いてくれる。愛は沢山の人々や犬(愛は犬と話せる)に左側を守られながら旅していく。愛は12歳にしては大人すぎるし、小学生には過酷すぎる苦難にもあう。そこが、筒井作品たらしめているのであり、単なる「少女の成長物語」と呼べない物語である所以であろうか。最後は大逆転の展開であるが、読者は快哉を叫ぶ一方、成長して失われるものがあることを知るであろう。2021/10/24
優希
95
面白かったです。近未来の無法の世界を舞台にしたジュブナイル。筒井サン、こういうのも書くんだというくらい穏やかで雰囲気が流れていました。母を亡くし居場所を失った左腕が不自由な少女・愛が仲良しの大型犬・ダンと共に行方不明の父親を探します。事件に巻き込まれながらも色々な人に助けられながら危機を乗り越える愛の強さに感動しました。暴力が支配する世界で優しい心と強い精神を持って希望を無くさない少女の姿を描いたちょっとしたファンタジー。愛の左側とはそう言う意味があったのかと思うとホロリときます。2016/01/21
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
60
何人かの読み友さんが読まれてたので。本書は、荒廃した近未来を舞台に、行方不明の父を探す旅に出る少女のお話。その主人公の少女月岡愛は、左腕が不自由。いつも左側には誰かが守ってくれている。道中、事件に巻き込まれながらも知恵と勇気で困難を乗り超えていく。最初のほうは悲劇的な出来事が多く読むのが辛かったが、後半の切り返しは清々しかった。成長するということは何かを失うことなんだなぁ。ジュブナイル小説とのことだが大人でも十分楽しめる1冊。2021/12/19
マンセイ堂
43
母親がなくなり、父親が出奔してしまった愛。でも、彼女のひだりがわにはいつも誰かがいます。それは、犬であったり、老人であったり好きな男の子だったり、、、父を見つけることで幸せになれると思っていた愛は彼を探す旅に出るのですが、そこで父親ではない新たな幸せを見つけます。犬や生き物の話し声が分かるという能力のせいなのか、読後感は不思議な感じでした。2013/08/11
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