内容説明
夢の木坂駅で乗り換えて西に向かうと、サラリーマンの小畑重則が住み、東へ向かうと、文学賞を受賞して会社を辞めたばかりの大村常賢が住む。乗り換えないでそのまま行くと、専業作家・大村常昭が住み、改札を出て路面電車に乗り、商店街を抜けると……。夢と虚構と現実を自在に流転し、一人の人間に与えられた、ありうべき幾つもの生を深層心理に遡って描く谷崎潤一郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅう
129
30年ほど前に読んで以来の再読。夢と現実の境界線が曖昧な世界が延々と続き、読んでいる途中では「自我を探し求める旅」のような小説だと感じた。しかし読了後には、自我がいくつもの可能性へ分岐し、最後にはどれが本当の「私」なのかわからなくなる物語だという印象へと変わった。象徴的な一文として、「目醒めとは実は新たな夢への横滑りであり、実はそれこそが人間の生かもしれぬ」を挙げたい。現実とは、目覚めるたびに別の夢へと移り続ける営みなのかもしれない。巨匠・筒井康隆が構築した迷宮のような世界に、ただただ脱帽した。2026/06/30
i-miya
65
2011.01.16 (解説・井口時男) 筒井康隆は規則破りの名人である。たとえばこんな文章。誤植ではないので念のため。<この文章は。と、に関する極めて短い考察であるそもそも昔は。も、もなかったそうである>井口は<この文章は、『と』に関する極めて短い考察である。そもそも昔は『も』もなかったそうである>と読んだ。2011/01/16
GaGa
54
随分久しぶりに読んでみたらなかなかの傑作。でもこれをいきなり読んだらわけがわからないのも頷ける。いわゆる筒井中毒の良品。筒井作品を読み続けてこそ良さが判る連作小説。そんな感じか(感想になってない・笑)2013/08/08
saga
43
久しぶりの筒井作品で、なかなか読む速度が上がらなかった。夢の木坂駅という分岐駅が象徴する夢と現実と虚構が入り交ざる作品だ。主人公も含め、登場人物の名前、会社での役職、境遇などがいつの間にか入れ替わっている。通底するのがサイコドラマという心理療法で、これは著者の得意分野だ。当を得た解説も良かった。しかし、この手の筒井作品は読み疲れるなあ……。2026/02/15
田中
43
こんなシュールな小説とは知らずに読んでしまった。読後はただ啞然とする。筋道がない蛇行する夢の出来事だらけで、わけがわからない。主人公と思われる男の名前が変遷する。と、同時に妻や娘の名も微妙に変わる。こっちの人とあっちの人が何度も入れ替わり、脈絡のない行動をするだけだ。架空の世界であると自覚し登場する彼らが、その夢のなかにある観念性を、意味を持たせないままに、永遠と動き続けるのだ。混迷する虚構性をひたすら追いかけて、どこにも辿りつけないままである。たとえていえば、超リアリズム的な一冊なのだろうと思う。 2021/12/21
-
- 電子書籍
- チョコレートリリー ~隣人は復讐という…
-
- 電子書籍
- 1ミリのズレが許せなくて世界制覇しまし…
-
- 電子書籍
- 二度目のプロポーズ~元カレ社長にほださ…
-
- 電子書籍
- 見捨てられた令嬢は冷徹公爵に溺愛される…




