内容説明
評論家だけの風変りな“梁山泊”プロダクション出現――盗聴、横領、出歯亀、放火などタブーとされる芸ばかりに秀でている彼ら俗物センセイは、一躍、マスコミの寵児にのし上がる。しかし、彼らの奔放な活躍ぶりは、次第に世間の良識という怪物の反撃に合い、両者の壮烈な戦いが開始された……。人間の隠された悪への欲望と破壊衝動を、豊かなパロディ精神と言葉の遊びで描き出す長編小説。 ※当電子版には文庫版掲載のカットは収録しておりません。ご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
159
この本もハマったなぁ。高校の頃だったと思う。とにかく良識に反抗する大人たちの話。確か映画にもなったらしいが映画は見なかった。(駄作だったと聞いている。)ドラマというのは抑圧との戦いだ。良識をあざけるのがこんなに楽しいとは、自分の心の中に何て魔物が住んでいるのだと気づかされた。
chiru
118
すごかった…🌀開けてはいけないドアを開けてしまったような、男子トイレに迷い込んだような感覚😣💦物語は…社長の情婦と関係した課長があれこれあって本を出版したりキワモノ評論家を集めたり…評論家ヤバすぎ!! なぜかラストは自衛隊に殺される謎展開😓❓全体的にアングラポップというかダメ人間にフォーカスするから、どこを向いても清々しいほどクズとロクデナシしか出てこない。よく発禁本にならなかったね🈲 評論家と液体系はキツいからもうやだ😢💦筒井さんが大好きな人は大満足すること間違いなし👍✨★32021/05/01
harass
96
ようやく再入手して読む。出版が1972年に気がつき驚く。たしかに今では廃れた言葉がある。自分の欲望を追求したものたちが、評論家として評論家事務所「梁山泊」に集まりつつあった。ただ反社会的な内容も。良識派たちの批判は高まるが、面白ければなんでもありのマスコミとの共犯関係が彼らの存在を支えていたのだが…… 徹底的で、下品でそしておかしく恐ろしいカタストロフィー。十数年ぶりの再読であるが、やはり凄い。薄ら寒ささえもを感じる。今回小説技法が凝らされていることに気がつきいろいろ感心。著者の代表作だと確信。強く推薦。2018/02/01
優希
84
ドタバタエログロナンセンス。評論家だけの「梁山泊」プロジェクトを通じ、評論家をコミカルに皮肉っているのが面白いです。タブーとされていることを大胆に描いているのが痛快で、ブラックユーモアには笑わされました。カオスな世界ですし、かなりデフォルメされた登場人物は全員何かが外れていて、破天荒なドタバタ劇が繰り広げられます。気色の悪いものをそういう風に描き出すのに、読む側を楽しませてしまうのが凄い作品だと思わずにはいられません。スラップスティック、メタフィクションのこの長編は、筒井文学の真骨頂と言えるでしょう。2015/10/28
saga
55
【再読】接待担当課長の収賄、企業の養子社長の苦悩と蒸発(懐かしい。今なら失踪か)などに端を発した俗物的評論家を集めた梁山泊プロダクションを核として、当時のマスコミや急進的女性団体、世相に対する風刺を効かせたドタバタ劇を堪能した。亭主の失踪を追って妻が、俗悪評論家の犯罪行為の疑いを抱いて刑事が、吸い込まれるように梁山泊ビル内に囚われてからの籠城戦が本書の見せ場だ。456から463ページの街頭インタビューは、著者の痛烈なマスコミ・世論批判でもあり壮絶。享介の最期の回想シーンは演劇出身の著者らしい。2023/11/29