内容説明
中国の古典には古人・古代崇拝のあまりニセモノが多かったり(偽書)、皇帝の諱を避け別の字に代えたり画数を減らすことがある(避諱改字)。漢文訓読法は学校で教えられても、こうした知識を学ぶことはまずない。中国学(文学・哲学・歴史)を学び研究しようとすれば、どうしても古典文献を読まなければならなくなる。本書は、中国古典の原資料いわゆる「白文」を読むにあたって、初心者が誤りを犯さないよう版本や分類などの書誌学的事項を丁寧に案内する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
11
版本・目録学、避諱、反切など、漢籍を読み、扱ううえでの基礎的な知識がコンパクトにまとめられている。現代中国の図書分類やヨーロッパでの漢籍目録について触れているのは珍しいように思う。欲を言えば、工具書・入門書については今回の文庫化を機に初版刊行後に出たものも紹介してくれるとなお良かった。偽書の部分の『周礼』については、近現代においても西周金文と相互に参照して西周官制の史料として扱われてきたわけで、偽書という結論に変わりはないとしても、もう少し丁寧な解説が必要ではないか。2018/05/15
ふみ乃や文屋
1
学術系の本を読んで面白いと感じる、私のような非研究系の立場の一般人というのも珍しいと思う。書誌学や文献学は好きなのだが、知識がなさ過ぎて読んでもいまいち解りかねることが多い。でも読んじゃうの。1文でも記憶に残ればいいじゃないか。で、これは大学の受講で聞いて頭に残っていた記憶の引き出しを開ける鍵の話題もあった。丁寧に解説されているので、初学者にむいていると思います。2018/06/08