内容説明
五ツ木守男は自殺しようと準備万端、毒入りステーキを用意した。いざ! その前にトイレ……戻ると、なんと食いしん坊の国務大臣がステーキを頬張っているではないか! 慌てた守男は四階から転落死。現場に駆け付けた四道(しどう)警部は、真赤な犬を見たという女中の証言が気になっていた。そんな犬、存在する? さらに雪山で扼殺死体まで見つかってさあ大変! ハイカラで流麗な本格ミステリ復刊。(解説:千街晶之)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
81
螺旋階段を落下して屋敷の主人が死んだ。彼は贅沢としての自殺…つまり好き勝手に死を選ぶ自由を夢想しつつ毒入りステーキを用意していたのだが、それを或る男が勝手に食べてしまう。慌てて人を呼ぼうとしたはずみの転落死だった。この偶然の連鎖に殺意が入り込む隙はなさそうに見える。が、4階で目撃された赤い子犬はどこに消えたのか?…子犬の謎を追って捜査は難航する。推理小説はロジックに耽溺するゲームだが、もしそれを生と死を巡る思索と見るなら哲学に近づく。偶然の中に人の意志を探すという、まさにロジックそのものを愉しむミステリ。2019/02/19
鱒子
49
読者は事件の詳細を知っており、警察の迷走を見守る展開。構成そのものは面白いです。しかし、なんだか色々と雑な推理小説。素敵な帯に惹かれてジャケ買いしたのですが、結局帯に書いてある一文は本書の内容と違うし。酷評ですみません。個人的にがっかり過ぎました。ただ、古い言い回しが魅力的だったりもするので、全くいいところがない訳でもなく…2018/09/20
geshi
34
まさか帯に書かれている半分が序盤の40頁弱で一気に起こるとは思わなんだ。読者だけが知っている事実に知らされていない真赤な子犬という要素が入り、政治学の替え玉や雪密室殺人まで積み重ね、バタバタと落ち着かない展開。本格推理ものへの皮肉めいた章や唐突な名探偵など裏をかこうとしてるのが合わなかったのと、ユーモアミステリのはずが社会派が入ってぼんやりしてしまった印象。普通に書いたらバレバレな真相をうまくミスリードさせる物語のつくりは面白いとは思う。2020/02/27
タリホー
9
自殺を決意した若社長は自宅で最後の晩餐として、ステーキに毒を仕込んだ。が、何故か侵入してきた政治家が毒入りステーキを盗み食いして若社長は仰天し…。あらすじは興味をそそる内容だし、不可能犯罪を扱っている点や現場で目撃された真赤な子犬などワクワクするネタが多いが、登場する人物や物語の背景が社会派小説チックで「コレジャナイ感」が強かった。現場見取り図があればもうちょっとのめり込めたかもしれない。本格モノだけどスッキリしない、かといって全くつまらない訳ではないので、何とも言えぬ読後感。2019/02/20
noribei
5
作者は翻訳家でもあり、メグレシリーズ等も手掛けている。本作は1959年作。2023/06/15
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