岩波新書<br> 現代社会はどこに向かうか - 高原の見晴らしを切り開くこと

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岩波新書
現代社会はどこに向かうか - 高原の見晴らしを切り開くこと

  • 著者名:見田宗介
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 岩波書店(2018/08発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317227

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内容説明

曲がり角に立つ現代社会は,そして人間の精神は,今後どのような方向に向かうだろうか.私たちはこの後の時代の見晴らしを,どのように切り開くことができるだろうか.斬新な理論構築と,新たなデータに基づく徹底した分析のもとに,巨大な問いに改めて正面から応答する.前著から約十年,いま,新しい時代を告げる.

目次

目  次
   はじめに

 序章 現代社会はどこに向かうか──高原の見晴らしを切り開くこと──
  1 未来の消失? 現代の矛盾
  2 生命曲線/歴史曲線。「現代」とはどういう時代か
  3 グローバル・システムの危機。あるいは球の幾何学──情報化/消費化社会の臨界
  4 世界の無限/世界の有限。軸の時代Ⅰ/軸の時代Ⅱ
  5 高原の見晴らしを切り開くこと

 一章 脱高度成長期の精神変容──近代の矛盾の「解凍」──
  1 脱高度成長期の精神変容。データと方法
  2 「近代家族」のシステム解体
  3 経済成長課題の完了。「保守化」
  4 魔術の再生。近代合理主義の外部に向かう触手たち
  5 〈自由〉〈平等〉対〈合理性〉。合理化圧力の解除、あるいは減圧
  6 近代の理念と原則の矛盾。封印と「解凍」。高原展望
  補1 合理性、非合理性、メタ合理性
  補2 生活スタイル、ファッション、消費行動──「選ばれた者」から「選ぶ者」へ

 二章 ヨーロッパとアメリカの青年の変化
  1 ヨーロッパ価値観調査/世界価値観調査。データと方法
  2 幸福の高原と波乱
  3 「脱物質主義」
  4 共存の地平の模索
  5 共存の環としての仕事
  補 〈単純な至福〉

 三章 ダニエルの問いの円環──歴史の二つの曲がり角──

 四章 生きるリアリティの解体と再生

 五章 ロジスティック曲線について
  1 グローバリゼーションという前提──人間にとってのロジスティック曲線1
  2 一個体当たり資源消費量、環境破壊量の増大による加速化──人間にとってのロジスティック曲線2
  3 テクノロジーによる環境容量の変更。弾力帯。「リスク社会」化。不可能性と不必要性──人間にとってのロジスティック曲線3

 六章 高原の見晴らしを切り開くこと
  1 総理の不幸
  2 フリュギアの王
  3 三千年の夢と朝の光景
  補 欲望の相乗性

 補章 世界を変える二つの方法
  1 ベルリンの壁。自由と魅力性による勝利。
  2 二〇世紀型革命の破綻から何を学ぶか。卵を内側から破る。
  3 胚芽をつくる。肯定する革命 positive radicalism。
  4 連鎖反応という力。一華開いて世界起こる。
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

(haro-n)

80
生物学におけるロジスティック曲線が、有限な環境である地球に住む人間にも当てはまるとし、人類は爆発的増殖を経て安定平衡期に入りつつあるとした上で、日本やフランス等の先進国の人々がどのような精神的変化を迎えているのかを考察することを通して、地球上の人類が今後築いていくであろう幸福な社会像について論じている。色んな調査方法を知れたことが単純に面白かった。特に世界価値観調査なるものは長期間の調査結果から様々な価値観の変容を発見できそうで興味深く思った。幸福な社会像については、少し表面的な感じがした。↓2018/09/05

壱萬弐仟縁

41
<情報化/消費化資本主義>とは「デザインと広告とクレジット」という情報化の努力によって消費市場を自ら創り出すシステムで旧来の「資本主義の矛盾」をみごとに克服するシステム(12頁)。環境廃棄物の無限の排出を帰結するシステム(12-13頁)。球はふしぎな幾何学である。無限であり、有限である。球面はどこまでいっても際限はないが、それでもひとつの「閉域」である(13頁)。宇宙は無限かもしれないけれども、人間が生きることのできる空間も時間も有限である(16頁)。2018/07/29

ロマンチッカーnao

36
二時間で読み終われます。しかし、内容は決して軽いものではなく、十分に読み応えのあるものです。歴史的にみて、今が大きな転換点であることは多くの人たちが知るところです。では、その変化の大きさはいかほどのものか。原始時代と今の文明時代。その差くらい大きな変化。そして、次の未来はどんな未来か。示唆されていますが、果たしてどうなるのかな。めっちゃ良い本でした。2019/02/22

ゆう。

33
残念ながらそれほど深い内容ではない。しかし、民主的な社会を築き、それを前提にして新しい社会を見通す必要性を述べていることは重要だと思った。人類の未来社会は資本主義社会のままであるのか、それとも共産主義社会への移行するのか、まったく新しい社会が築き上げられるのか、それは民主的社会のなかで人々の合意のもとに示されるべきものである。全体的に抽象的だったように思う。2018/08/31

小鈴

30
私たちは長い道のりを歩いてきた。共同体から飛び出し、都市ができて、貨幣が生まれた。無限の世界におののき宗教が生まれた。充たされない「今」より「未来」を夢見た。先へ先へ。山頂はどこなのだろう。坂が緩やかになった。ふと腰をかける。あぁ、そうなのか。私たちが登ってきたのはこんな景色だったのか。たった164頁なのだけど、そんな本なのです。二千年の旅路を眺める。現代社会の巨大な曲がり角を生きるあなたは何を思うのか。一花開いて世界起こる。あなたの充足が世界を開く。 2018/07/08

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