内容説明
ローマの植民市として出発した古代,有力家門が鎬を削った中世,「自由」が高らかに掲げられた共和制期,そしてメディチ王朝期──いつの時代も,人々は自らの名誉にかけ,この町を崇高なまでの美の都に仕立て上げた.ルネサンスにとどまらない「歴史の重層性」から,その魅力あふれる文化と芸術を活写する.写真=大村次郷 [口絵4頁]
目次
目 次
はじめに
第一章 ローマの植民市とキリスト教の普及──前六世紀から九世紀
第二章 都市国家の誕生と発展──一〇世紀から一四世紀半ば
第三章 中世の文化
第四章 ルネサンスの政治・経済・社会──一四世紀半ばから一六世紀初頭
第五章 教会と修道院・施療院
第六章 邸館とヴィラ
第七章 広場と街路
第八章 世界と人間に注がれる新たな視線
第九章 トスカーナ大公国時代──一五三二年から一八六〇年
第一〇章 近現代の苦悩と輝き──一八六一年から
あとがき
主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
86
岩波新書で最近出版された本でフィレンツェの歴史をさまざまな視点からわかりやすく説明してくれます。私は何度か訪れて滞在したこともありなつかしさを感じましたが、やはりメディチ家の影響が大きいということがわかります。都市国家であってかなりの裕福な商人などがいて権力もそれなりに保持し続けて、自治権もかなりあったということなのでしょう。いい本でした。2018/06/06
ピンガペンギン
23
「神曲」を読む際の参考に。ダンテの時代、政争で敗れた側は財産没収、故郷追放され浮かばれなかった。一方、フィレンツェ人は言葉を大切にした(P62)。ダンテは清新体派代表詩人、グイード・カヴァルカンティの影響を初期には受けていた。南仏トルバドゥール→シチリア派→清新体派という影響があったという。清新体派詩人の恋愛観と技法を受け継いで次の時代にバトンタッチしたのはペトラルカ(1304-1374)だという。2023/12/09
しんすけ
14
マキアヴェリに親しむ中でルネサンスはフィレンツェから始まった、と思うことが確信のようになっていた。だが正直なところフィレンツェを具体的に考えることはできない。観光旅行でも良いから行ってみることも考えていた。しかし本書を読むと行ってもモヤモヤ感が深まるだけではないかとの懸念さえ生じてしまった。 本書は観光ガイドブックに毛が生えたような内容で構成されている。遺跡や建造物そして人物などの記事が数行で語られている。それだけ多くの内容を積載しているのである。大型豪華客船に搭乗しているようで何とも味気ない。2019/12/15
遊未
8
フィレンツェというとルネサンス期が普通取り上げられますが、紀元前6世紀から近現代までが流れている内容です。ゲルフ、ギベリン、コムーネ、ポポロ体制、白党、黒党などバラバラと読んできた流れが初めて繋がりました。中世とルネサンスが繋がっていると繰り返し述べられていますが、フィレンツェの奥深さを感じることができました。2018/10/06
キミ兄
5
6月にフィレンツェに行ったので復習の意味で読んだ。行く前に読めばよかったとも思うが、実際に行って見た建物が出てくると俄然関心がわく。するともう一回行かなければならなくなる(笑)。12世紀あたりから18世紀に掛けて街が少しずつ整っていった様子がよく分かる。次回はフィレンツェに長居しよう。その際には必携。☆☆☆☆。2018/09/11
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