内容説明
ベストセラー『友がみな我よりえらく見える日は』の感動が10倍になって帰ってくる。泣いて、ホッコリ。笑ってしんみり。短いけれど大きく深く魂をゆさぶる珠玉の22編。
日本唯一のコラム・ノンフィクション作家・上原隆による最新の精華! 妻が他の男の子供を産み、だが、その子を育てる決心をしたのに結局は妻に出て行かれた男の慟哭「ああ、なんてみじめな」。京都で朝日新聞を60年間ずっと配達し続ける男の話「新聞配達60年」。あの世界的日本人文豪のデビュー前をよく知る男の思い出「彼と彼女と私」。女性とつき合ったことのない男性書店員が同じ店の仲間と始めた悲しい交際の顛末「未練」。腸内がただれて食事ができない10万人に1人の難病・クローン病を患う青年の克服「僕のお守り」。新聞の「仲畑流万能川柳」に毎日投稿し月に5、6回は掲載される常連の人生と日常「恋し川さんの川柳」。なにもかも失い横浜の街角に立つサンドイッチマンが見せた見栄とは?「街のサンドイッチマン」。突然、姿を消したある文芸評論家の女をめぐる謎を解く「文芸評論家・松原新一を偲ぶ」。20年前、留学の2日前に直前に殺された「柴又・上智大生殺人事件」の被害者・小林順子さんの両親が語る「娘は21のまま」ほか、感動の全22編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
67
著者のコラムノンフィクションは初読み。月刊誌に100回連載した中での22編。悲喜こもごもの人生を語ってくれたのは市井で生活している一般の方々。こういう人も居るのだから貴方もしっかり生きて行きなさいなどと押し付けがましさではなく、感じ方は読み手にまかせるという何気に優しさが伝わるようでそれゆえ感動。後に超有名になる作家の話、娘を殺された両親のその後の苦衷さ、盲目の女性と盲導犬、ホームレス、などなど。人生にはそれぞれの物語があり神様が終わりを告げるまで人は紡ぎながら生きているんだなと感じながら読了。2019/01/22
かおる
32
22編のコラムノンフィクション。人の数だけ人生はあるとよく聞くけど、この本を読むとその言葉が身にしみます。「娘は二十一のまま」は自分もこのお母さんの立場なら一生後悔してしまうだろうと思うと涙が出てしまいました。2019/03/20
団塊シニア
26
無名の人を取り上げる作者のコラムノンフィクション、今回も期待を裏切らなかった、「彼と彼女と私」「未練」「新聞配達六十年」は秀逸な作品である、丁寧な描写、その人の表情、心の機微までも見えるような文章は映画のワンシーンを見てるような不思議な魅力がある。2018/09/26
学び舎くるみ
24
どこか懐かしい香りのする短編集。日頃あまり接点のない人たち、身近にもしかしたらいるかもしれないけれど、そこまで突っ込んで聞いたことがない身の上話。いろんな人の人生が、ふわふわと浮かんで消えてそっと心に降り積もっていく。さてと、私も明日からまた頑張ろう。2019/06/30
ステビア
18
変わらぬ上原隆!いいねぇ2021/03/07