内容説明
生い立ちも性格も体つきも対照的な女学校の同級生、佐倉玖美と沢井窓子。花嫁に憧れる二人はやがてそれぞれにファッション業界へ身を投じ、戦中から戦後の高度成長期にかけて、この国にブライダルビジネスを根付かせる――。女性の社会進出がまだ珍しい時代、彼女たちはいかに偏見や因習を乗り越えたのか。紆余曲折の足跡を鮮やかに描く感動作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるき
36
日本にウェディングドレスを浸透させた先駆者がモデル。女学校で出会った二人の少女の共通点は、綺麗な物への尽きぬ憧れ。時代だけに艱難辛苦を舐めますが,無彩色の時代を補って余りある鮮やかな夢をみせてくれました。日本古来の和装も、ディズニープリンセスみたいなドレスも、どちらも捨てがたい。女性の夢を叶えるのが王子様でなく、女性であることがとても素敵。2018/08/29
エディン
7
桂由美をモデルにした佐倉玖美と同級生で架空の人物沢井窓子との物語。打ち掛け、文金高島田の婚礼衣装が一般的だった時代に、ウエディングドレスのデザインを手がけ、広めていった桂由美の人生。窓子の方は、美容院と提携した貸衣装で成功。晩年2人が偶然出会って、お互いの半生を振り返る。桂由美さんが一世を風靡しだした頃から、現代までを振り返りながら読むことができた。2022/10/15
nyanlay
5
現代の結婚式の様式を根付かせた二人の話。戦後はまだ何となく想像出来たけど、高度成長期でもまだまだ日本は保守的だったのだと改めて知った。今はほとんどウェディングドレスだと思うけど、結婚式自体がようやく本人達主体になってきましたね。2019/04/28
YH
4
玉岡さんの物語はいつも闘う女性が主役。その意味では有吉佐和子の後継だと感じるけど知名度が上がらないのが残念。この作品も結婚式のあり方を変えた二人の女性。玖美程煌びやかな成功は納めていないけど、働かない夫を支える形で始めた仕事を大きく育てた窓子に惹かれる。2019/09/09
パンダゴテ
1
桂由美さんをモデルにした物語。本当に読んで良かった。というのも自分かブライダル業界にいるから。ブライダルという言葉を初めて使い始めたのが桂由美さん。戦前、戦時、戦後と時代の流れと共に結婚式の体系、流行が変わっていく様子がよくわかる。小説としても普通に感動したが同じ業界にいるからこそ感じることや教えてもらえることが多かった。桂由美さんのことは恥ずかしながら名前ぐらいしか知らなかった。歴史を知ることの大事さと何事も志が大切だと思えた。2018/12/19