ハヤカワepi文庫<br> 恥辱

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ハヤカワepi文庫
恥辱

  • 著者名:J Mクッツェー【著】/鴻巣友季子【訳】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 早川書房(2018/07発売)
  • 3月の締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~3/31)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784151200427

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内容説明

〔ブッカー賞受賞〕52歳の大学教授は二度の離婚を経験後、娼婦や手近な女性で自分の欲望をうまく処理してきた。だが、軽い気持ちから関係を持った女生徒に告発され辞任に追い込まれる。彼は娘の住む片田舎の農園へと転がりこむが、そこにさえ厳しい審判が待ち受けていた。ノーベル賞作家の代表作。解説/野崎歓

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

293
現代南アフリカの空気を 感じる物語である。 文学部教授デヴィットが 教え子と関係を持ち、 転落していく… 公私とも、壮りを過ぎたこと を認識しながら、その事実 を受け入れられない男… 奇妙なことに、著者は その日常を他人事のように 描く。 アパルトヘイト撤廃後の 不穏な南アフリカ情勢を 背景にしながら、頻発する レイプ、強盗事件、人種対立…テーマの重さと、 文体のアンバランスさが 印象に残る。 娘ルーシーの決断、 強さが潔く、底に流れる 生命力のようなものを 感じる、そんな物語だった。 2015/07/14

こーた

194
作家は主人公を、彼、といって突き放す。共感を拒否し、精緻に、まるで計算でもしているかのように、一歩いっぽ確実に、彼を転落させていく。それは彼の視点のみで語られる。彼が見て、彼が歩む物語だ。娘にも学生にも、隣人にも強盗にも、それぞれの物語があるが、それらとは決して交わらず、誰かとわかりあうこともない。そうやって彼の物語を静かにじっと見つめていると、わたしの内にじわじわと彼が浸み入ってきて、いつしか寄り添うように読んでいる。突き放されたはずの彼の物語を。ひょっとしてこれは、わたしの物語ではないか。⇒2018/10/27

ミカママ

165
【原書にて読了】大学教授の主人公が教え子に手を出して大学を辞任、というところまでは、とにかく独特の英語に慣れるのと、主人公のウザったらしさに難航。舞台が娘の農園に移ったところからはストーリーにのめりこみました。全体を覆う静けさと暴力、生と死、所有する側とされる側と。主人公は単なるスケベ親父かと言うとそうではなく、彼の話す英語は知性を感じられてとても好き。ラストは...そうきたか。一気に涙腺崩壊して本を閉じました。うーん、今年の私のベスト3に入っちゃうかな。ブッカー賞受賞はダテじゃないぜ。2015/09/19

ケイ

160
50代男の「ライ麦畑でつかまえて」だと思った。あっけにとられる冒頭だが、南アの政策転換に思い当たると腑に落ちる。人種的優越性が抜けない50代白人男性。生まれた時からこの間までその享受は自然なことだった。文学的エロスを現実に持ち込み、新体制を受け入れ難い彼の行動は支離滅裂。彼が認識していくには時間が必要なのだ。そして、受けとめるために自分を殺してしまっているルーシー。描くために、女性が支配を甘んじて(望むのではなく、あきらめて、甘んじて)受け入れる状況を書く作者の手法は好きではないが、作品は好きだ。2016/08/26

扉のこちら側

87
初読。2015年1117冊め。【69/G1000】アパルトヘイト撤廃後の新生南アフリカの不穏な情勢。恋愛関係にあると思っていた女子学生からセクハラで訴えられ職を追われた大学教授が、自給自足の生活を送る娘のもとに身を寄せるものの、娘が暴漢に襲われてしまう。恥辱の後の、悲劇。レイプ、強盗事件、失業、人種問題、動物の生存権等の多問題がからむ。南ア文学は初めて読んだ。ここで終わってしまうのかと思う結末だった。【第6回G1000チャレンジ】2015/11/07

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