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内容説明
「ほめる人は敵と思え、叱る人は味方と思え」と、
こんなに叱ってきたのに、なかなか成長してくれない弟子なんです――桂歌丸
初の直弟子が描く師匠と歩んだ落語家人生。
師匠としての桂歌丸の姿が、いまはじめて明かされる。
一九八五年、東京理科大生の無口な男がなぜか落語家を志し、桂歌丸の門を叩いた。
けっして弟子を褒めない歌丸だったが、その陰では無限の愛情を持って弟子を支えていた。
不器用な弟子はそれに気がつかず、ついには「クビだ」と怒らせてしまうが……?
数々のしくじりを重ね、悪戦苦闘しながらも、師匠を追い続けた日々。弟子と師匠の三十二年を赤裸々に語る。
目次
第一幕 入門
第二幕 前座
第三幕 二ツ目
第四幕 真打
最終幕 それから
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
76
32年間、見つめた背中。ぶれない軸、言葉ではなく態度で示す。故に、二度の”馘”も至極当然。但しこれも愛情也。無論、愛情溢れるエピソードも、多々記載。昇進時の羽織や黒紋付の着物贈呈は、ある意味で師として想定範囲内。しかし”赤飯”は、親心だよなぁ。その心を読まなきゃ駄目だよ、歌助師匠!(笑)踏まえた、最大の恩返し・・・、同感。そして、迎えた最後の最後のページ、グッとくる。でも師は、何時でも何処でも弟子を見守り続けてますよ!”酒”にまつわる数々の告白には、天国で苦笑いされていると推察。2018/07/28
gtn
23
師歌丸が亡くなった直後発刊。内容は亡くなる前に執筆されたものであり、「師匠見ていてください」との思いであふれている。幾たびと師をしくじる著者であるが、主な原因が独断で事を起こしたこと。何かする前には、必ず師に伺いを立てることが大事と学んだ。なぜなら、どんな時も師は弟子のことを気にかけ、じっと見ているから。2018/10/08
Nazolove
19
初めて「師匠としての歌丸」を見たが、なかなかに厳しい師匠だなーと思った。 そして弟子になると誰しも多々やらかししくじりはあるものなんだなーと思った。 毎回こういう話を読めば読むほど、おれって落語家の弟子になれねぁなぁと改めて感じた。 この方がテレビに出てるとは知らなかった。 ところどころで人生のためになりそうなアドバイスがあったのでこれを糧に生きていこうと思った。 この方(作者さん)は多分真面目ーなタイプなのかな、なんて思った。 最後に歌助師匠、笑点でしくじったーから読み出してどうもすみません(笑)2018/09/27
だまし売りNo
6
本書は著者の失敗や師匠への非礼のエピソードが数多く登場する。著者の失敗の多くはビジネスの世界の「報連相」ができていないことが原因である。この点で落語という特殊な世界の話ながら、ビジネスパーソンにも重なるところがある。 失敗や非礼は本人にとっては赤面物の話が多い。よく書籍にまとめたものである。出版タイミングは歌丸さんの死に便乗した形になったが、著者の身を削った内容になっている。日本型組織には都合の悪い過去をなかったことにする悪しき体質がある。著者のような人物は好感が持てる。 2019/05/11
青木 蓮友
5
「なにこの人ー」「ちょっとー」「だからさー」なんかもうつくづくこの歌助さんて人は不器用というか、理系というか、幾度となく「わっかんないかねー」と大声出してしまった。お赤飯のくだりには正直わたし目頭熱くなりましたよ、情けなくて。あまりにもさっぱりと悪気がないために助かってきたのでしょうが、ちょっと疑うくらい鈍く疎い人じゃないかと、憤慨とともに思いますね。しかしながら、だからこそ努力とその味もあるのでしょう。ご自身ご自覚あるとおり、落語の道には本来進みにくい性分で。その曲げっぷりに勇気をいただきました。拍手。2018/08/23