内容説明
『風姿花伝』は能の大成者・世阿弥が著した、日本最古の能楽論である。『花伝書』の名称でも知られる本書は、「花」と「幽玄」をキーワードに、日本人にとっての美を深く探求。体系立った理論、美しく含蓄のある言葉、彫琢された名文で構成される、世界にも稀な芸術家自身による汎芸術論である。原文の香気が失われぬよう、かつ自然な現代語としてスラスラと読めるよう、工夫を凝らした現代語・新訳として提供する。七歳から年代順に具体的な稽古要領を記した「年来稽古條々」、物真似の本質を把握し表現する「物学條々」、Q&A形式の「問答條々」。そして、「花」の本質を説いた「別紙口伝」。章立て・語り口はあくまで明快、シンプルである。大陸伝来の文化から袂を分かち、日本人自ら育て、咲かせた最初の美しい「花」――。風姿花伝は700年を経た今日でも、広く表現に携わる方々はもちろん、人生訓としても読める懐の深い名著である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
56
岩波文庫版を読んであまり理解出来なかったので、本書を読んでみた。少し理解出来た事もあったので、もう1冊、違う訳で読んでみたい。 2024/06/11
mazda
46
難読なり…。来年再読します。2023/12/14
33 kouch
42
無理して若作りするのでなく、また若いものに負けじと同じ土俵で競うのでなく、その年相応の美しさがある。年齢はあくまで「個性」に過ぎない。またそれを個性と感じられる感性。散りゆくものに儚さや、再生の美まで感じる心を日本に浸透させた根源を感じる。秘することが美というのも深い。確かに背景の理屈が分かると少し冷めるし、その理屈でしか見れなくなる。深い…喋りすぎないようにしよう。2022/08/29
inami
40
◉読書 ★3.5 本書は『忘れる読書:落合陽一』でも紹介されていました・・「能」の大成者、観阿弥の遺訓を基に世阿弥(息子)が著したもの。「序」の申楽の歴史から第7章の「別紙口伝」まで、修行・工夫方法、実践的演出方法や理論など、わずか100ページあまりにギュッと詰め込まれています。キーワードに「花」や「幽玄」という言葉がありますが、囲碁の日本棋院(東京)の「幽玄の間」という格式高い対局室には、川端康成の書「深奥幽玄」という掛け軸が掛けられています。⇒2023/02/28
さばずし2487398
37
能理論書だが1人の日本人としての生き方まで考えさせられる名著。現代語訳だけ掲載されているが意外と短く分かりやすかった。若いうちは花にもなれるがそこに種が持てるかは本人の向き合い方次第。芸に大事なのは美しい事と珍しい事。花は時々に咲くから珍しく故に美しいと感じるのであってずっと花が咲いていたら珍しくも美しくもなかろう。哲学的。翁や女性など、其々の役の演じ方も指南されているのも面白かった。本書で書かれた家伝は秘する事で美しくなる。数百年前の名文は有り難いがこれが後世に公開された事は著者にとってどうなのだろう。2025/05/13
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