角川書店単行本<br> 生き残り

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角川書店単行本
生き残り

  • 著者名:古処誠二【著者】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 特価 ¥880(本体¥800)
  • KADOKAWA(2018/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041071076

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内容説明

北ビルマでの米支軍との戦いは、退路を断たれ、苦戦を余儀なくされた。
独歩患者は中隊から切り離され、経験のとぼしい見習士官を付けられて分進隊として転進する羽目に陥る。

イラワジ河をにわかづくりの筏で下る際、敵機に襲われ、すさまじい火力で河面が叩かれる。
各自中州までようよう泳ぎ着くが、そのさなか、伍長が胸の一突きで殺される。

あの極限状態のさなかで、いったい誰が? 大河の両岸には百姓ゲリラが控え、中州からの脱出もままならない。
籠城はできても3日。日本兵たちはやがて、一人、またひとりと命を落とす――。

中州を脱出してひとり安全圏の渡河点にたどりついた兵隊から転進の行程を聞いた下士官は、話に違和感を覚え、兵隊に銃をつきつける。
「お前、足手まといになった連れをひとり残らず殺して転進して来ただろう」――転進の道で鬼とならざるを得なかった人間の弱さ、優しさ、哀しさ。
人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おかむら

31
古処さんの新作は「中尉」「いくさの底」に続いてまたビルマ戦記。戦争末期、転進と言う名の撤退中にとある傷病兵部隊が全滅。一人残った兵隊に疑惑の影。ミステリー要素もありますが、もう古処さん、来れるやつだけ付いて来い的な独特独自の世界観。渋いわー! ビルマ腐れの足を引きずりながら雨季のぬかるみ道を歩いてる気持ちになりながら読みました。 2018/10/13

aloha0307

27
太平洋戦争末期 敗色濃厚の北ビルマ戦線 軍装備・食料も枯渇 転進という名の撤退...心身ともに限界の過酷極まる場面は緊張感がピークで高止まりでした。疑心暗鬼が利己主義に陥り、心が荒みきっていくのは人間の原罪か。終章で明かされる動機と兵隊の論理には驚愕してしまう。主人公:森川上等兵はどうなった? それを読みこなせなかったのは残念です。2019/02/03

タカギ

25
すごい…久しぶりに頭がパーンとなる衝撃を受けました。『いくさの底』も我が目を疑ったけれど、ミステリ色は今作のほうが強い気がします。苦しい戦況の下では、誰もが利己的で、でも一人では生き残れる確率は低いという矛盾。ビルマ人の親切にすがりながら、同じゲリラを恐れる矛盾。辛い場面も多いですが、読むべき物語だと思います。マンダレーがミャンマーの都市だと知って、びっくりしました。『レベッカ』ね。無知とはこのこと…恥。2018/10/08

Hisasi Hasida

21
「他人だからです」一言の重さが、このお話の肝なんやろなぁ~ッ !! って、思ったお話 。。。2018/12/20

遊々亭おさる

17
太平洋戦争時のビルマ。マラリアやビルマ腐れを患う傷病兵たちは中隊から離れての転身を余儀なくされる。見習士官の指揮のもと、マンダレーまでの道を進むがゲリラの襲撃時にひとりの兵隊が謎の死を遂げる。いっぽう、イラワジ河の渡場で他者を拒む鎧を身に付けてひとり佇む上等兵の姿が…。平和を貪る現代においては狂気の沙汰でしかない論理も戦場に立てば疑う事なき真理に変わる。戦場で命を散らした多くの兵隊さんたちはこのような思いに殉じていたのか。ミステリ的などんでん返しの驚きを身に付けて、極限状態での人間の心模様を綴る戦争文学。2018/09/09

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