内容説明
若林誠、29歳。一介の営業マンとして働きながら、脳裏には暗く巨大な野望を秘めていた。格闘技と銃の腕前を磨き、ついに行動を開始する。現金輸送車襲撃、資産家が貯め込んだ脱税金の強奪――次々と凶悪な犯罪を重ね、大金を掴むが、その欲望はとどまることがなかった。次なるターゲットは30億円の現ナマ。だが、背後には怪しい男たちの影が忍び寄っていた……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつや
3
若林は営業マンとして働きながら内なる野望を成就させるために様々な技術を身に着けていた。中身は『蘇える金狼』とそう変わらない。主人公以外の人体が脆すぎるという世界観も同じ。朝倉と若林を話の途中で入れ替えたとしても特に問題なく進行するだろう。ただこの若林、途中からくっそダサくなっちゃうんよなあ。同じ野望を持つ仲間を見つけてからはもうただの変態親父だよ。何がチームパラダイスだ、みっともねえ。稼いだ金の使い道がしょうもなさすぎる。ここはいっちょ朝倉vs若林をやってもらって、朝倉にチーパラを壊滅に追い込んでほしい。2022/07/09
こひめ
2
う〜ん…若林さん、最初は魅力的だったんだけど、話が進んでいくうちにただの人でなしになっていく感じがして、個人的にはちょっとなぁって思った。あと、描写がどんどん現実離れな展開になっていって、ちょっとついて行けなかった。2023/06/01
とぽすたぱす
0
現実の世界で途方もない事件に接したとき、私たちはしばしば、その当事者たる犯人の生活のディティールを知りたがる。細部の積み上げをすることで、理解不可能な犯人と自己とを隔絶する空白を埋められるのでは、という期待がそこにはある。 大藪作品には、途方もないことをしでかす「犯人」と、そんな彼らの「細部」としての生活が詰め込まれている。その点が焼肉屋で最後に貰うキャンディーみたいにアフターケアがある感じがしてすばらしいなと思う次第。本作ラストの××××具合は大藪作品でも屈指であり、必見、必読。2014/08/22
Yamamoto Shinichi
0
再読。 銃や運転(車、ヨット)の達人で、喧嘩も強く、狙った女を落としちゃう超人的な主人公が、銀行強盗したりでお金を奪ったり何だり。。。 ここまでなら、大藪ワールドにおいては普通の展開なのだが、この作品はここからぶっ飛ぶ。 後半からラストにかけて、フィクションだからという言い訳も通じないくらいリアルさの欠片も無くなるのだが、これを楽しむのも大藪作品の醍醐味かと。2014/01/28