内容説明
彼のカメラに写るのは、四季の風景と美味しいもの、そして迷える人の心……。『鴨川食堂』で人気の著者による京都の名所、グルメ情報満載の新スタイル小説誕生! 京都の老舗料亭〈糺ノ森山荘〉の八代目当主・朱堂旬は、ふだんは冴えない風貌で、自転車にまたがる姿はどうみても下働きの従業員。ところが彼は、人気写真家・金田一ムートンというもう一つの顔をもっていた――。秋の大原、どこか寂しげな着物姿の女性が向かうのは山中の来迎院。彼女にカメラを向けたムートンがファインダー越しに見抜いた真実とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
95
京都の名勝地とそこに実際にあるおいしい店が紹介される。そしてそこで展開される人情話が読みどころである。京都観光グルメガイドと市井人情小説の幸せな合体。京都に生まれ、京都に住み、京都を食べ歩き尽くした柏井氏ならではの見聞は正真で慥かだ。 第二話「雪の千本鳥居」が好い。年老いたおばあちゃんが一人で切り盛りする食堂は何処とは特定されていないが、京都の町中にあり地元の人からうどん屋と呼ばれているような大衆食堂。店の佇まいを想像するだに京都に行きたくてたまらなくなる。2018/08/12
カメ吉
69
面白かった。ノリは『鴨川食堂』と同じ少し展開が雑な感もあるけどテンポ良く楽しめた。 京都のガイド的な趣きもあってそれも面白かったです。 下鴨の老舗料亭の当主が実はもう一つ写真家という顔を持つ。 しかも短編で舞台をかえながら事件を解決する様は気持ちいい。 話の終わり方から続篇もアリかな? シリーズ化しそう。2018/08/28
真理そら
56
『下鴨料亭~』を先に読んだので当主の二つの顔は女将にはバレてることは分かるけど、当主だけでなく女将も「外商」しまくりの老舗料亭って大丈夫だろうか。ちょっと高級な京都案内でしょうか。2023/11/09
はつばあば
51
(笑)男性の願望でしょうねぇこういう二股人生は。私より一つだけお若い作家さんですが世慣れてはります。ホンマモンの京都人?というかしっかり遊び歩いてはるのがよくわかります(*^^*)。2024/02/27
ジュール リブレ
40
江戸時代からつながる料亭に婿入りした旬。裏の顔は……で、美味しいものを食べ歩く。京都の名所と銘店紹介も兼ねた一冊で、なかなか楽しませてもらいました。一度、訪ねてみたいですね。ある一軒を除いては。2019/08/05