内容説明
〈王国〉の海域を荒らす海賊たちを討伐した功績で名を馳せる海軍提督バロウズ卿が、海賊連合〈南十字星〉の首魁アルバート・リスターに誘拐された――提督救出の密命を受けた若き海軍大尉アランは、天才を自称する元役者の中年男ソープの助力を得て海賊に変装し、〈南十字星〉への潜入を試みる。それぞれ個性豊かな海賊の長たちを束ねる謎の青年リスターらに囲まれた状況下での困難な任務に留まらず、アランたちは〈南十字星〉の本拠地の孤島で起きる連続殺人事件を解く羽目に陥ってしまう。鮮やかな謎解きと爽快な読後感の海洋冒険ミステリ!/解説=宇田川拓也
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森オサム
37
奇妙奇天烈摩訶不思議。ファンタジー要素有りの海洋冒険小説を読んでいたら、クローズドサークルの本格ミステリーに変貌してしまった。大名作アニメ「宝島」の世界。さあ~行こう~夢にみた島へと~、と機嫌よく歌っていたはずなのに。で、このキメラ作品が面白かったのか?、つまらなかったのか?、と聞かれると、まずまず良かったのではないかと思います。かなり強引な設定、展開ですので、突っ込めばキリは無い。ただ、ジョン・シルバーもグレーも出ないけど「宝島」、(パイレーツ・オブ~では無い)、お宝を探しに海へ出ようじゃないか(笑)。2022/09/29
カノコ
33
夜の床屋でデビューした著者初となる本格推理長編は、海賊たちの世界が舞台。最初の登場人物一覧に怯んで中々手をつけられなかったのだが、読み始めてみたらまあ面白い。豪快で剛腕な海賊たち、胸が高鳴る宝探し、大海原の大冒険…わたしたちがドキドキする大好きな要素が盛り沢山。ワクワクせずにはいられない。後半から漸くミステリらしく殺人事件が発生するが、正直なところ派手さはない。けれど、胸のすくような展開が本当に気持ちよくて、爽快な読書だった。ノベルスから改題されているようだが、そっちの方が良かったんじゃないかと思う。2018/08/29
タカギ
28
沢村浩輔といえば『夜の床屋』。「え、あれ? 私はどこに立っているの?」みたいな、知らないうちにワープしていたみたいな凄い話だった。今作は海洋冒険小説+連続殺人。事件の黒幕が不愉快な人物だけど、話としては面白かった。ひとつ望むなら、探偵役のバート(アラン)に魅力がもう少し欲しかった。アクションシーンを入れるとか。相棒のソープは芸術家でまあまあ魅力的なので。表紙絵が緒方剛志だと思っていたら違ったので驚いた。似てる…。2022/01/17
hnzwd
28
海洋巨編に加えて、クローズドサークルまで味わえる一冊。もう一捻り欲しかったかも。2019/04/15
きょん
21
海洋冒険活劇>>ミステリって感じですかね。大航海時代っぽい舞台が好きなので軍人が強制的に海賊のボスにさせられる前半も楽しかったです。トリックとかではなく、ホワイダニットがメインの謎ですが解決自体は論理的で納得。2018/07/26