内容説明
大学在学中、チェコの神学者・フロマートカの人生に惹かれた著者は、神学研究の志を秘め外務省に入省、ロンドン郊外でロシア語研修に入る。そして任官2年目、同じく亡命チェコ人で、社会主義国の禁書を扱う古書店主マストニークと出会い、彼を師として、宗教や民族、国家を巡る対話を重ねながら、世界の読み解き方を知る。自身の知的原点を明かす自伝エッセイ。『プラハの憂鬱』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
110
英国でのロシア語研修の続きを詳細に書かれている自伝です。さまざまな現地の人びととの邂逅が綴られています。その中でのご自分の考え方や思想の変遷なども垣間見られて並みの自伝とはやはり異なっています。2018/03/05
ehirano1
72
こういう経験ができた著者が羨ましいです(英語のテスト以外はwww)。フロマートカの神学は著者が終生研究するとのことですから、それは著者に大いに頑張ってもらうとして、チェコという国の分化人類学について興味が湧いてきました。先ずはチェコを舞台とした小説(プラハの春を題材にしたモノがほとんどでしょうけど)から入ろうかなと思ってます。2020/04/05
aika
42
新人外交官の佐藤さんが、チェコからイギリスに亡命し、東側で絶滅寸前の禁書を救い出すことを使命とする古書店主・マストーニクと出会い、真の友人となった本編。佐藤さんの尊敬する神学者・フロマートカの思想やチェコが直面している問題などの対話を軸に、様々な背景を抱えながらイギリスという地に流れ着いて生きる人々の歴史が、血の通った客観性で描かれています。映画「ミッション」の感想から見える友人との信仰観の違いなど、数々の挿話にはっとさせられました。同志社大学で神学を学び抜いた日々の回想も、とても興味深かったです。2019/08/04
まーくん
32
あの佐藤優氏が自分の思考の原点を語る自伝的エッセイ。同志社で神学研究を志し、その便法として外務省入省。そして英国の陸軍語学学校でのロシア語研修。その期間に出会った亡命チェコ人古書店主との濃密な師弟関係を通し、神学に限らず社会主義や民族主義などへも思索を深めていく。それにしても高校一年生で東欧を一人旅したり、日本語で考えても頭が痛くなるような神学論や国家や民族に関する対話を外国語で・・。凡庸な自分からは想像できない。アスリートが筋トレするように頭脳を鍛え上げてるような感じ。やはり異能の人。2018/03/04
Nobuko Hashimoto
30
輪読ゼミの持ち寄り企画で学生が紹介してくれた。チェコ好きでなくても面白く読めるのではないかと思うが、ちょっとでもチェコ好きなら、とても面白く読める。それにしても記述が細かい。詳細な日記をつけているのかなあ。紹介してくれた学生君が、これを読んで「スリボビツェ」というチェコのお酒を飲みたくなって飲もうと試みた話もしてくれた。ロシアや東欧のお酒を出すお店が京都にあるそう。みんなで行きたいねえと言っている。内容についてはブログに。https://chekosan.exblog.jp/29191199/2019/01/16