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内容説明
内には独裁的体制を強化し、外には米国一極支配に対抗するという共通目標をもつロシアと中国。ロシアの豊富な資源と軍事技術を求める中国、中国の経済成長によって国際的な孤立からの脱却をはかるロシア。両国の蜜月関係は強固に見える。だが、じっさいの思惑は一致していない。その舞台裏では、熾烈な主導権争いが闘わされている。ユーラシア連合と一帯一路、AIIB、BRICS、上海協力機構、北極圏に関連する利権や勢力圏をめぐる駆け引き……。世界のリバランスが進むなか、両大国に接する日本はどうするべきか。気鋭の国際政治学者が最新情報から、激動の国際情勢を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
16
「反米」では一致しているものの、一筋縄ではいかない中ロ関係(台頭する中国と衰退するロシア)を、周辺(主に旧ソ連諸国)情勢を絡めて論じる。米ロ緊張の頂点に達したのが08年のグルジア戦争。この戦争を契機に冷戦後の構造は新たな時期に入った。グルジア戦争は、地域、世界に大きな影響を与え、「新冷戦」の勃発すら懸念させた。14年からは、ウクライナ危機が先鋭化し、ロシアが孤立を深める一方、米国の一極的世界に反発するロシアと中国が関係を緊密化させた。しかしこの中ロの関係深化は実は表面的であり、両国間の相互不信感は根深い。2019/12/04
かんがく
15
タイトルにあるように、アメリカの一極支配に対抗するという点で目的を共有する二大国の関係を扱う。一方で、中央アジアにおける勢力圏の問題などで微妙な緊張関係もある。日本から見た極東情勢のみならず、北極海への進出、ウクライナやEUとの関係など、ユーラシア全体におけるダイナミックな国際関係が理解できた。2020/12/14
二人娘の父
12
現在、各種メディア頻出の著者による2018年発刊の著作。中露の微妙なバランスを詳細に分析する。軍事やエネルギー面での中露の依存関係の深さは率直に驚いた。同時にお互いの思惑はありつつも「反米」という一点での共闘・共存関係に踏み出す外交路線の基盤についても認識を新たにする。問題は現在のロシアによるウクライナ侵攻によって、この絶妙なバランスがどうなるのかだ。ロシア・プーチン政権を徹底的に孤立させる道と同時に、ロシア国民をどう救済していくのか。現状対米従属下にある日本・自公政権が選択する余地はあまりにも少ない。2022/03/25
Hatann
10
2018年刊。中露関係について、米国への対抗意識のみならず、両国間の相互不信感にも目配りし、離婚なき便宜的結婚の状況を述べる。ロシアは旧ソ連や旧共産圏の諸国を念頭にユーラシア連合構想を持つ。中国は中央アジアの国々やウクライナとの関係強化を図りロシアの勢力圏を侵害しているが、ロシアには中国に対抗する力がないのが近年の状況である。世界規模のリバランスにおいて、日本も大国だとしても狭間の国家であることを自覚し、的確なバランス感覚、明確なヴィジョンを持ちつつ、基礎体力を強化しながら外交を進めることが求められる。2022/02/13
日の光と暁の藍
9
ロシアと中国は一枚岩なのか。米国の一極支配体制を多極構造へ移行させる点で中露は同じ目標を有している。だが、その他の分野では決して一枚岩ではない。上海協力機構、AIIBにおける影響力の凌ぎ合い。旧ソ連諸国、東欧、中央アジアにおける勢力圏の奪い合い。北極圏航路の権益を巡る睨み合い。現実には中露関係は「離婚なき便宜的結婚」と言われているようである。ロシアの軍事技術が欲しい中国は、戦闘機をある程度購入したあとは複製し他国へ輸出したりしている。ロシアからしたら、たまらない。中露の微妙な関係を本書で学ぶことが出来た。2018/08/05
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