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内容説明
一生を何の病気にもかからずに終える人は、ほとんどいない。高齢化も進み、医療ケアを受ける人は今後ますます増大していく見込みである。社会全体で病気を患う人々をケアし、支えていくためにはどうしたらいいのだろうか。本書では、「現象学」という哲学の視点から、病いを患うとはどういうことなのか、病いを患う人をケアするとはどういうことなのかを、改めて見つめなおす。患者の心身をトータルにとらえ、向き合い寄り添うケアへの道しるべを示す一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
64
患者をトータルにみるという視点から、現象学を引いて考察したもの。症状だけ見て患者をみない医者というのは私の感触でも確かに多い。特に終末期医療において本書の考え方は役立つように思う。一番の課題は治療者と患者側との信頼関係が構築されているかというところでもある。患者が自己開示をしないと、理解できるものもできない。双方の努力が必要であろう。2018/07/15
ネムル
10
フッサール、ハイデガー、メルロ・ポンティの現象学の系譜がいかにケアです場に応用されるか。対話、ケアする者がケアされる巻き込まれなど、話題は鷲田清一なんかに近い印象だが、なるほど、自然科学的に数量に還元される「疾病」と現象学としての「病い」を峻別する点は参考になる。2018/07/13
SGM
6
☆☆☆1/3ほど読んでやめた。まず現象学の説明が難解で理解できなかった。かつ文章が長すぎる。もっと小まめに切っていかないと理解しにくい。後半部分も斜め読みしたが、要は患者を数値や画像みたいな客観的なものだけで診るのではなく、ひとりの人間として主観的なものや生活を含めて診るべきということなんじゃないの?と思ってしまった(しっかり読んでないので謬見かもしれない)。こんなのやってる医療者はグダグダ哲学とか持ち出さなくてもやってるよねと。所詮は学者さんが書いた本で現場での実用性はないかなぁと思った。2018/09/13
JunTHR
3
現象学の用語や概念の解説にかなりの紙幅を費やしており、そこにはかなり苦労した。が、具体的な話に応用されるとものすごく腑に落ちる。とても勉強になった。 全体で縦軸のように登場する末期腎不全の職人の話は、特によく分かるという感じがした。 現象学が、看護学などでよく使われることの意味がよくわかった。一方で気になるのは、現象学的な看護・医療の分析は、当事者たちにとって、どの程度受け入れられているのかということ。2018/08/14
射干玉榮
2
この本はとても「やさしい」。フッサール 、ハイデガー、メルロ=ポンティの思想をエピソードを交えて「易しく」解説しており、そして現象学の枠組みを通して描かれる医療従事者と患者の関係が何よりも「優しい」。哲学(現象学)入門書としてこの本を手に取ったならば、その思想が持つ温かみに触れることができる良書である。2020/01/18