内容説明
「いいから黙ってろ」「ちゃんと見とけ」・・・その男の剣幕に、産科医師となって5年目の神岡好乃は圧倒された。医師不足で存亡の危機に立つ市民病院に助っ人として現われた男――フリー医師・犬童道也は、好乃の目の前で母子ともに危険な早期剥離(はくり)の分娩を無事成し遂げたのだ。好乃はその技量に感嘆するが、同時に医療事故すれすれの無謀なやり方に反感を覚えた。時には現代医療の常識から逸脱しても、自らの方法を貫いて恥じぬ犬童。はたして、この男は何者なのか!? 崩壊に瀕する周産期医療の現場に立つ医師たちの苦闘と成長を、現役医師にして熟達の作者が見事に描いた迫真のサスペンス、待望の電子化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
荒川叶
10
読みやすかった。産婦人科の大変さ… 同意がないとできない。マニュアルどうりは大切だけど、マニュアルだけじゃできない。産婦人科の仕事は非常に大変だと思いました2019/01/26
Aoi\(*ˊᗜˋ*)/
6
再読。犬童医師いいね。こういう人情があるけど野犬と呼ばれてるキャラ。産婦人科小説好きだなぁ。命が産まれてくるまでに人それぞれ個々の道がある。残念ながら産まれてこない命もある。その現場のリアルさは小説でも感じられる。医師が書く小説は特にそう。この小説シリーズならいいのになぁ。面白いから。2017/04/09
あここ
2
非常勤産婦人科さん。いろんなとこに頼まれて行きます。あぁぁこうゆうお医者さんもいるのか。。。腕がいいとかより急に知らん先生とかやったらちょっと不安かも。でも現状なんやろうな。仕事キツすぎる。犬童先生、もっと偏屈で個性的ででも腕はピカイチやでって設定かと思ってたら結構ええ人(笑)犬童先生と関わることで成長する女医さんの話でした。産婦人科ってゆうても生ばかりじゃない。死にも直面する職場・・読み始めて思い出した。あぁ。苦手やった。細かい手術の記述に子宮がイタタ・・ままりん、しんどい思いして産んでくれてありがとう2014/08/12
しゃお
2
現代日本の産科医に対する問題を提起しつつ、その厳しい現状の中で医師の成長というものを描いており、クセの強い登場人物たちも最後には愛おしく思え応援したくなるような読後感は意外に爽やかでした。2011/10/23
まりりん♡
1
タイトルから犬童医師が主役と思いきや、若き好乃女医の成長物語。筆者自身が産科医、そして私自身産婦人科の診察室で働いているので、それぞれの患者さんのケースがリアリティを持って胸に迫りました。妊婦さんの日々は日常であって非日常、ひとりひとりにそれぞれのドラマがあり、端から端まで人間味溢れる一冊です。2017/05/21