岩波新書<br> ルポ保育格差

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岩波新書
ルポ保育格差

  • 著者名:小林美希
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2018/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317128

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内容説明

依然として解消されない待機児童問題.しかし,どこでも入れればいいというはずはない.果たして中でどのような保育が行われているのか.園によって大きな違いがあるのはなぜなのか.さらに,卒園後の学童保育での実態はどうなっているのか? 事実上,保育所は選べないなか,運次第で受けられる保育の質に格差があっていいのか.

目次

目  次
   まえがき

 第1章 どの保育園に入るかで大違い
   虐待の横行する現場
  コラム① 保育業界用語一覧
    「私、あの子、無理だから!」
  コラム② ものは言いよう
   一日中テレビを見ている園児たち/はき違えられた「親育て」・「親支援」/どこに相談すればいいのか/ 「天国から地獄」へ/ 「育休中の方は登園しないでください」/幼保一体型施設内の格差/隠れ保育料
 第2章 事業としての保育園──なぜ保育士の処遇改善が進まないのか
   どこまで人件費を切り詰めるのか/園長の口癖は「お金がない」/人件費比率の示すもの/企業の言い分/ 「横浜方式」はブラック保育所を増やす?/社会福祉法人の人件費ランキング/社会福祉法人それぞれの説明/見るべきは保育者人件費比率/ 「処遇改善」の実際/低賃金の背景と構造/ 「保育」にお金が回っていない!/相次ぐ事故や不祥事/人件費は人件費として
 第3章 甘い需要予測──なぜ待機児童は減らないのか
   適当な「あんばい」?/そもそも育休が取れない/ “公務員”といっても……/マタハラの実態/ 「〇歳児保育を増やしたくない」/ “正社員”といっても……/親のワークライフバランスは
 第4章 学童保育は「子どもの居場所」になっているか
   ある学童の現場から/将来の展望が見えない/正職員にのしかかる負担/あの手この手で/声を出して笑ってもらえる居場所/指導員に求める資質/発達障がい児とどう向き合うか/小学校よりも長い時間を過ごす場所
  1 そもそも学童とは?
  2 学童の実施状況は?

 第5章 安心して預けられる保育所とは?
   一斉保育からの大転換/必要でないことなど何もない/柔軟性が大事/専門性をもって子どもを見ること/実家のようなところ/家族が幸せでなければ子どもは幸せにならない/保育園時代くらい、天国であってほしい
 第6章 保育格差をなくすために
    「保育所保育指針」に込められたメッセージ/ 「子育て安心プラン」/自治体格差/公立から私立へ、正規から非正規へ/ 「新制度自体が格差ある制度」/始まった企業主導型保育/ 「保育士」から「保育人材」へのスリカエ/素人同然の企業が参入/命を落としても、なお規制緩和?/事故防止のために/ 「福祉の本質が保育にある」/子どもの最善の利益を考える
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

93
言葉を失う。こんな保育園は少数派だと思いたい…。粗製乱造、とまでは言わないけど、数ありきで質が追いついていない。素晴らしい保育園はたくさんある。質の悪いところは淘汰されるという市場原理に任せればいい?そうじゃない。十分に吟味・選択する余裕はない。何より子どもにとって保育園での時間は全て。リカバリーはできない。子ども自身は異議申し立てすることもできない。だからこそ、質の担保は、大人の、社会の責任。保育士が十分な賃金を得られるようにすることも含めて。箱物や武器よりも、人を育み、よく生かすことにお金を使おうよ。2023/05/29

あすなろ

75
今保育所に通っている子供が将来保育士になりたいと言うか?筆者はあとがきで問いかける。少々多用される引用やらで読み辛い本ではあるが、様々な要因から今の保育問題が斬られている。当然こうした問題は多方面からの複合的問題であり、その多方面がそれぞれ斬られている。中でもなるほどと思ったのは、90年代不況時に、失業対策として介護と保育の産業化が唱えられたが、保育は児童福祉法の完成度高く市場化の一線は越えず済んだ、と。ナルホドなあと膝を打った次第である。2018/06/24

佐島楓

75
非正規職員の雇用増→低賃金→職員のモチベーションの低下→離職→再び非正規職員としての雇用、というスパイラルが機能してしまっているように感じた。しわ寄せが来るのは言うまでもなく子どもとその保護者である。誰しも無関係とは言えない問題なので、是非ご一読をおすすめしたい。2018/05/08

キムチ

48
読んだとはいえ、余の内容の痛さに途中から飛ばした個所も多々。福祉施設であるはずの保育所が利益優先のビジネス化していくところが多い現状では書かれた内容の一般化が解る。保育士にも温度差があり、「企画運営」に走る余り、主役は誰?というのも無きにしも非ず。一方、滅私奉公や過剰の関わり、親への阿りもないとは言えない。昨年より保育士と協働する時間が増え、改めて色々考えさせられて読んだ次第だが、泥沼的現況をどうするか五里霧中。2000年に入っての福祉基礎構造改革、そして発達障碍者支援法を踏まえると更にそんな思いばかり⤴2018/09/01

ゆう。

42
保育現場の実情を丁寧にルポされ、政府が進める保育の規制緩和が、保育の質を低下させ、子どもたちや親たちの保育を受ける権利を侵害していることがよくわかりました。また、保育者の非正規化や資格の規制緩和が、安定した保育ができず、保育のマニュアル化も進み、保育者の質そのものを低下させていることもよくわかりました。そうしたなかで、専門職者による子どもへの虐待ともいえる実態が起きていること、また死亡事故も起きていることが指摘されていることは重要だと思います。保育の公的責任を守り拡大させていくことが重要だと思いました。2018/05/09

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