内容説明
この世に思いを残した人の姿が見えるという不思議な能力を持つ娘おいちは、父のような医者になることを夢見て、菖蒲長屋で修業を積んでいた。そんなある日、おいちの前に現れた女が、赤子を産み落としてすぐ姿を消し、殺される。女は一体、どんな事情を抱えていたのか。そして母を亡くした赤子の運命は? 殺された女の、聞こえるはずのない叫びを聞いたおいちは、思わぬ事態に巻き込まれていく。一方、おいちの父のもとには、老舗の薪炭屋の主人と内儀が訪ねてきていた。母・おきくの病を治してほしいという。店を訪ねたおいちは、鬼女の顔を宿したおきくの心の闇を感じ取る。二つの出来事は、思いがけない展開を見せていき……。悩みながらも強く生きたいと願うおいちに想いを寄せる新吉、凄腕の岡っ引・仙五朗、そして個性的なキャラでおいちを見守る伯母おうたも健在。人気の傑作時代ミステリー「おいち不思議がたり」シリーズ第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
174
あさの作家、このシリーズもあったよ。今回は第4弾、行き倒れの女を出産させることになったおいちが、産まれた赤子(十助)の幸せとこの子の母が何故殺されなくてはいけなかったかという事件(お家騒動)に巻き込まれていく・・そんな回だった。いつの世も出産は命がけなのだ。そして、産んだ子の幸せを願わない母親はいない。おいちは女性の為の療養所を本気で開く事が出来るのかーそれは次回以降の話なのだろう。2018/07/14
初美マリン
113
叶えたい夢をもっているおいちさん、本当に強い人ですね!2019/12/06
タイ子
70
読友さんも書かれてるようにおいちシリーズは3年ごとに刊行されてるんですね。登場人物たちの記憶がはっきりしないまま読み進めたわけですが、口うるさいおうた伯母さん、新吉、なんかカッコいい仙五朗親分登場で蘇りましたよ。普通の人には感じられない物、事がおいちには伝わる。その不思議な能力が今作も発揮され、命を産むこと、守ること、育てること、繋ぐことの大切さをあさのさん流に読ませてくれました。そして、おいちが先に見た自分のなすべき道。頑張って目指して欲しいな。伯母さん、カッコよすぎるよ、泣かせないでよ。次巻楽しみ!2018/07/22
kei302
61
今回は深川周辺地図付き。時代小説ではお馴染みの場所。おいちが自分の進路(?)進みたい道を見つけた。次作も楽しみ。2021/06/09
はにこ
55
おいちと新吉は診療の帰りに産気づいた女を助けてお産させる。十助と名付けられた子供を残し女は姿を消す。という話。十助を守るために命をはった滝代。母は偉大だなぁと思う。そしておいちの大きな志。志に向けて邁進していくのだろうなぁ。新吉とも上手くいったら良いなー。2020/08/05