ハヤカワ文庫NV<br> 卵をめぐる祖父の戦争

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ハヤカワ文庫NV
卵をめぐる祖父の戦争

  • ISBN:9784150412487

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内容説明

「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父のレフが戦時下に体験した冒険を取材していた。ときは一九四二年、十七歳の祖父はナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた。軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された彼は、饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索に従事することに。だが、この飢餓の最中、一体どこに卵なんて?――戦争の愚かさと、逆境に抗ってたくましく生きる若者たちの友情と冒険を描く、歴史エンターテインメントの傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

469
1942年のレニングラード包囲戦を描く。レニングラードの人々にとっては文字通りに総力戦であったが、語り手の「わし」(語りの時点では老人。語られる物語の中では17歳)と、脱走兵のコーリャ、そしてヒロインのヴィカの物語として語られる。そのことは、作品に半ばは物語としての成功をもたらし、また半ばはレニングラード市民の体験した圧倒的な悲惨から遠ざけることにもなった。ここは評価が分かれそうなところだ。エンディングも、予定調和を結んだようでもあり、またこうでない方が良かったようにも思う。2022/04/26

遥かなる想い

154
2011年このミステリーがすごい第3位。物語は第二次世界大戦,ドイツ占領下のロシアのレニングラード。大佐の娘の結婚式のために、1ダースの卵を 捜す祖父とその友達のコーリャが出くわす。ドイツ兵の残虐さと闘うパルチザンたちの勇敢さが微妙なバランスのもとによく描かれている。この物語がミステリーという範疇に入るかどうかは別にして、パルチザンの女性ウ”ィカの圧倒的な存在感…そして戦争とはいかにむなしいものかを見事に描いている。2011/05/03

ケイ

148
文句なしに引き込まれるミステリ。おじいちゃんの指がなくなったいきさつ。第二次大戦中のスターリングラードでの出来事。ナチから卵を一ダース奪っちゃいな!がロシアのデブ軍曹からの至上命令。コーリャという人物の創作も見事。おすすめ♪ ただね、私はウクライナとロシアとヒットラーらのことをこの数年、読みすぎてしまった。楽しむには、すれっからしみたいなもん。コーリャの性格もロシア人には思えないと感じたのだけれど、解説を読んで納得。書いたのはアメリカの脚本家。ただ、そうい見事さはある。映像でも見応えあると思う。2020/02/19

buchipanda3

103
戦争ものであり、冒険エンタメでもあり、面白く読めた。一番の魅力は二人の登場人物のやり取り。少年レフと青年兵コーリャはふとした出会いでレニングラード包囲戦の最中、奇妙な指令を押し付けられる。敵ドイツ軍の陣地に向かう二人が見たものは…。戦時の苦しみ、飢餓の苦しみ、戦争の悲惨さが人々の心を蝕む。そんな中、コーリャの奔放で下品で自惚れ気味な態度が不思議と煌めく。それは戦争の現実の奇妙さや荒唐無稽ぶりを皮肉るかのよう。レフが体験で得たものを心に留めておきたい。そしていつか彼らの果てしない文学談議が聞けたらと思った。2024/11/09

ken_sakura

100
とても良かった。盗んだナイフで人を刺す尾崎豊inソビエトと思いながら(^◇^;)悲惨なことを悲惨に書かない。物語を読んだぞと満足に浸った(^。^)アメリカの地、作家である孫に祖父が語る自らの来し方。第二次世界大戦、ドイツ軍に包囲されたレニングラード、運悪く秘密警察に捕まった若き日の祖父レフが、同じく捕まった脱走兵コーリャと、娘の結婚式を控えた秘密警察の大佐に命じられ結婚式のケーキのため卵を探す。レフとコーリャが見るもの、その道行き。パルチザンの狙撃手ヴィカとの出会い。盗んだナイフで二人のドイツ兵を殺すこと2018/10/20

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