内容説明
誰もが過去を引きずっている。みんな悲しい思い出を持っている。都会の片隅に、大切な人とはぐれた人々が住む古い洋館アパート・風見館、訳あり客が寄り添い合う喫茶店・前奏曲(プレリュード)がある。そこに住み、そこに入り浸る、お人好しなだけが取り柄の大学生は、堕ろした子供のもとに行きたいと願う謎の女子高生と出会う。ダイナマイトで一緒に死んでほしいと言われた。まっすぐで純な愛のあり方を描く長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
79
重い過去を背負った登場人物。古い洋館アパート風見館に住む亀さんとイイコさん、訳ありの人々が寄り添い会う喫茶店前奏曲、こののマスター津村、従業員の志保、客のヤクザの剛士、オカマの香織等。人のいい大学生の小峰の日々の生き様を描くことで話は展開するが、出会いと別れ、不倫、堕胎や自殺等が絡みあい重い内容に終始する。性、生と死に正面から向き合った青春苦闘物語と言える。 2021/04/01
zanta
10
原罪ということをイメージした。それぞれが抱えているものを干渉しすぎず、甘やかさず、でも拒否することもなく、スポイルすることもなく。こういう場所を見つけられたらいいな、と思う。2014/06/22
チャリラン
3
読み応え十分、質も量も。 人間の本質に迫る…、というと大げさかな。でも生と死。欲と性などの葛藤が繰り広げ、また登場人物や設定もなかなか。戦争体験のある老人や高校生はたまた今どき流行のオカマちゃんも良い味を。 順風満帆とは真逆の人生模様を受け止める生き方、自殺を望む生き方。 んんん。ハードボイルドな場面もちらりと色を添え面白かったです。 ★★★★★ ナイス。2012/06/23
なんてひだ
2
最後の方は幻想的で風穴は蛍の通り道だとか、子供の頃のおばあちゃんの大事な思い出が溢れてきた。西洋館の造も不思議だけどフアフアしてる大学生活に甘える気持ちと振り払う気持ちと混ざっていて、堕胎する事実を自分の罰として律するとかの話だけど、別な働くとか亀さんのような地べたを這いずり回る生き方すればよかったのでは。堕胎の話を聞いても私生活になんら変化もないから、むしろ自分の出来ないヤクザな世界に夜の世界に興味津々だが、蛍にもアイドル並みの気持ちを思うとか。しかしたくさん死んだよ、珈琲屋と色合い違う世界でした
シグシグ
2
さまざまな過去を背負い、辛い事を受け止めている人達が最後の光を求め生きている。物語は堕胎がテーマになっているようにも感じるが、罪の意識やら償いがメインのようにも感じた。主人公の住まう「風見館」の住人や喫茶店「前奏曲」に集う面々がそれぞれ何かしらの過去を持ち、物語の中で語られていく。過去の話にインパクトがありすぎて、ダイナマイトが霞んでしまうくらいでした。最後の静寂感が物語と合っていて心地よく感じました。2011/12/31
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