翻訳地獄へようこそ

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翻訳地獄へようこそ

  • 著者名:宮脇孝雄【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • アルク(2018/06発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784757430747

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内容説明

翻訳業界の中でもその博識ぶりと名訳者ぶりがリスペクトされている宮脇孝雄氏による、翻訳者と志望者、英語学習者、海外文学愛好家に有用な珠玉のエッセー集。</br>「翻訳は難しい」とはよく言われること。文法的に一応正しく訳したつもりなのに、著者が本当に言いたいことはまるっきり伝わっていない―――そんなことがままあるのが「翻訳の世界」なのです。表層的な訳から脱したい、時代や文化背景の違いを乗り越えて、より正確でより魅力的な訳にたどりつきたい、ともがき苦しむ翻訳者たち。知恵を振り絞りあらゆる手段を使い、正しく訳せた時の歓びは格別ながら、心残りのある訳文しかひねり出せなかった時には悔いがいつまでも尾を引き……。</br></br>本書は、そんなちょっとマゾヒスティックな翻訳者や翻訳コンシャスな人々に贈る書。古今のさまざまなジャンルの英語の読み物に通じ、英語圏の文化や言葉への造詣が深い宮脇氏が、数多くの翻訳実例も引用しつつ、翻訳のやり方、アプローチ法を実践的に紹介します。読めば読むほど翻訳者の苦悩と奮闘、そして翻訳の奥深さ面白さがじわじわ伝わってくる一冊なのです。</br>●エッセー41篇が3つの章に分かれています。</br>1 翻訳ビギナー講座:単語の意味の選択の間違い、イディオム、構文のまずい訳し方など、翻訳者が最低限心得ておきたいこと</br>2 翻訳に必要な文化背景:歴史、習慣、風俗などについてのさまざまな調査をした上でさらに推理をすることが必要</br>3 実践的翻訳講座:「表現の翻訳」とはどういうことか。長めの英文を使った翻訳過程を実況中継的に</br></br><目次より></br>慣用句は時に破壊力のある地雷となる</br>謎の人物が出て来たらディケンズを当たれ!</br>翻訳で失われるものは意味だけではない</br>なぜカウボーイは独立分詞構文で描かれたのか?</br></br>【著者プロフィール】宮脇 孝雄:</br>翻訳家・随筆家。40年以上にわたり、ミステリ『死の蔵書』や文学作品『異邦人たちの慰め』など多様なジャンルの作品を手掛けてきた。翻訳に関するエッセイをはじめ、料理や英米文学・ミステリに関するエッセイ、評論も多い。現在、(株)日本ユニ・エージェンシーで翻訳教室を開講、専修大学で非常勤講師を務める。</br>主著:『翻訳の基本』『続・翻訳の基本』『英和翻訳基本事典』(研究社)</br>主訳書:『死の蔵書』『幻の特装本』『異邦人たちの慰め』(早川書房)、『ジーン・ウルフの記念日の本』『ソルトマーシュの殺人』(国書刊行会)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

bianca

42
著者の宮脇さんの翻訳はクライヴ・バーカーの「ミッドナイト・ミートトレイン」で読んだことがあった。一読者としては大変勉強になる内容。一方で翻訳を生業としている人々は戦々恐々ではないだろうか。明らかなリサーチ不足で謎の日本語になっているにも関わらず、そのまま出版されているケースも多いみたいだ。確かに翻訳本で度々「??」となることはあるけれど、完璧な翻訳をするためには、かなりの知識と労力が必要。報酬面で割に合っていなそうな…。自分もたまに原書に手を出すけど、まだまだYA止まりにしておいた方が良さそうだと実感…。2019/05/12

buchipanda3

42
翻訳指南の本だと思うが、読み物としてもかなり楽しめた。英国文化の蘊蓄も盛り込まれ、ユーモラスな文章でとても読み易い。翻訳小説を読む人は、誤訳やいまいちな訳文の例を見せられてあるある状態になること請け合いだと思う。著者は翻訳は<言葉>を訳すだけの作業ではなく、<表現>を訳すことだと述べている。作家の意図をちゃんと汲み取り、描かれた時代背景も踏まえて訳す。読み手に分かり易く伝えるためにしっかりと言葉を選び抜く考え方に感銘を受けた。これは翻訳に限らず、日本語の文章を書いているときにも通じるものだと思う。2018/07/29

流之助

34
翻訳ミステリが読みにくい理由が事細かに理解できた気がした。翻訳とは英語を日本語に訳すことではなく英語の「表現」を日本語の「表現」に訳すことである、ということがよく分かる。ミステリや児童書に対する、軽い読み物という偏見が無くなり、良質な翻訳が読めるように願いたい。2019/08/15

Yuuki.

32
短いエッセイをまとめたもので、サクサク読めるのだが、内容は濃い!きっと訳書を読むのが好きな人には仕事としての翻訳とはどんな作業なのかが分かる面白いエッセイだろうし、訳書が読みにくくて苦手な人にはその原因の謎解き本になりそう。そして翻訳学習者や翻訳者には凄くためになる!先々訳者として恥をかかないために気を配るべき部分を教えてくれ、今後参考にしたい書籍もたくさん出てくる。それにしても、実際に出版されている訳書をこれだけバッサバッサと斬るとは恐ろしい。まさに地獄。2019/05/31

shikada

30
翻訳家が、翻訳の難しさ、一筋縄ではいかない部分を語った一冊。全体を通して「言葉のニュアンスに対して無警戒ではいけない」とのメッセージを感じる。頻出語でも意味は複数あるし、小説は行間を読んで、ユーモアや引用を察知しないといけない。ドアを"push”するのはたいてい部屋に入る時だとか、イギリスには「市」という概念がないとか、日本人作家は使わない、翻訳ものでだけ登場する日本語(翻訳弁)があるとか、初めて知ることが多かった。「英語の小説に登場する京都弁をどう訳すか?」との章が特に興味深かった。2020/04/20

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