戦術の教科書

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紙書籍版価格 ¥2,090
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戦術の教科書

  • ISBN:9784862554093

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内容説明

「フットボール批評」の人気連載が待望の書籍化!
世界的な戦術研究の第一人者である著者が
日本のサッカーファンのために書いた、サッカー戦術本の決定版。


戦術とは何か。「ゲーム(勝負事)」を、どこまで支配し得るものなのか。
 洋の東西を問わず、この種の議論がますます盛んになってきている。
戦術論が普及すればするほど、根源的な問いかけがなされるようになってきたのは、
フットボールという競技自体の進化にとって、極めて好ましい兆候だろう。
3-4-2-1やプレッシングといったコンセプトを生み出してきたのは、予測不可能性を極小化し、
自らのイデア(理想)を具現化しようとする情熱であり、ひたむきな使命感でもあるからだ。
 その事実を理解して初めて、ピッチ上に描かれる魔法陣の秘密は解き明かせるといってもいい。
本書はイギリス人の戦術史家、ジョナサン・ウィルソンとの共作になるが、僕たちが一貫して目指してきたのも、
歴史的な文脈をしっかり踏まえたうえで、時代の最先端を行く戦術論の見取り図を、読者のみなさんに提示することだった。
 とはいえ、ジョナサンと戦術論の本を出版するのは実に不思議な気がする。
彼は戦術論の大著を以前にも上梓しているが、もともとフットボールのジャーナリストを志していたわけではない。
さらに言うなら、戦術分析が専門だったわけでもなかった。
(「はじめに」より一部抜粋)

【目次】
Episode.1 戦術トレンド概論 プレッシングか、ポゼッションか、それが問題だ。
Episode.2 60年ぶりに戻ってきた3バック
Episode.3 アンチカウンター理論としてのゲーゲンプレス
Episode.4 ゼロトップはどこへ消えたのか
Episode.5 ベンゲルと4-2-3-1の行方
Episode.6 10番/トップ下論 エジルが象徴するクリエイティビティのジレンマ
Episode.7 ゾーン・ディフェンスがカバーする領域
Episode.8 アンチ・フットボールの誘惑と憂鬱
Episode.9 レスターと4-4-2に未来はあるか
Episode.10 ポチェッティーノが受け継ぐ、ビエルサイズム
Episode.11 アンチェロッティ式、「ハイブリッドマネージメント」のススメ
Episode.12 モウリーニョが抱えるスペシャルな懊悩
Episode.13 ウイング論 左翼と右翼のウインガー
Episode.14 理想主義者、ペップ・グアルディオラの挟持
Episode.15 GK、100年の孤独
Episode.16 ディープ・ライイング・プレーメイカーの誕生

column.1 共産主義思想としてのプレッシング
column.2 コレクティブカウンターの衝撃

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キク

33
欧州におけるサッカーの熱狂は、様々な戦術を生みながら進化淘汰を繰り返し、サッカーというスポーツを当初とは全く別のものに変えていった。本書は2017シーズン時点での各トップチームの戦術を詳細に分析して、今の戦術の課題を解説している。凄くわかりやすくて面白かった。ペップ体制のバルサは本当に奇跡的な完成度を実現していた。今、メッシとバルサが散々揉めているのは、偉大な王朝の体制崩壊を目撃しているようで、とても寂しいです。2021/02/27

ポンコツ太郎

8
戦術にも流行り廃りがあり、歴史が繰り返されているというところが面白かった。2018/03/20

ふっかー@Book Fair読書会

6
ファン・デル・サールやV.バルデズを指導した「組み立て型GKの師匠」フランツ・フック氏(蘭)が気になる。ジョアン・ミレッ(西)やフルゴーニ氏(伊)といい、欧州はGKコーチの層が厚い!▼リーグも年代も飛び越えて幅広く分析しているが、文章はとても滑らかなので「観戦好き」な方にオススメです。2018/02/12

K・M

5
【2022W杯開催記念読本〈№4〉2017年発刊】大書『サッカー戦術の歴史』の著者J・ウィリアムズと田邉氏の共著。歴史的な文脈を踏まえた上で現代戦術論を紐解いていく様が秀逸。他の戦術本と比較しても群を抜いているという印象か。「共産主義思想のプレッシング」では知る人ぞ知る東欧の名将ロバノフスキーに記述されるのも嬉しい、名将率いる若きシェフチェンコ擁するディナモキエフに圧倒された思い出が甦る。ベップ率いるマンCの源流が140年前のスコットランド代表なども驚きの一言に尽きる。観戦副読本として相応しい至高の一冊。2023/01/17

suzuki

5
2016-2017シーズンまでの、主に欧州クラブチームにおける戦術を解説している。 100年以上の歴史における指導者たちの人的なつながりから戦術の方法論、進化論について説く。 守備で主導権を取るかどうかと、攻撃の手数をどうするかの方針を、布陣と選手の選択でどう実現するか。 布陣に込められた意思を読み解けるようになった気になれた。 モウリーニョのバルセロナへの反骨精神、どこまで想像で書いてるのかわからないけど、面白かった。2020/10/19

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