内容説明
人生ってのは、なかなか難儀だ。目釜市岬新町――寂れた海辺の倉庫街にて「トナカイ運送」を営んでいる神則道と矢薙圭介。凸凹コンビの裏の稼業は、ワケあり客OKの逃がし屋だ。あるクリスマスの夜、産婦人科医・田巻毬子から「夫の暴力に苦しむ妊婦を助けてほしい」と依頼が入り……。DV・借金・ストーカーまでクライアントの悩みは多種多様。心が震える新感覚バディエンタメ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
89
思ったよりハードでした、金曜日の本屋さんやペンギン鉄道の様なほっこりミステリーかと思ったら、運送屋を営みつつ裏稼業の逃がし屋の方が需要が多く人が好いというか過去のトラウマからつい困っている人を助けてしまう、しかも逃がし屋だけに背景はかなり重く辛い事が多い裏社会の闇や暴力、読んでいてかなり辛い部分も多かった、助けられた人々がせめて今より幸せになってくれますようにと願わずにいられない。2019/09/09
ゆみねこ
85
ワケアリ客OKの逃がし屋「トナカイ運輸」、DV・借金・ストーカーなど様々なクライアントを逃がす。。ただ、単純な逃がしのストーリーでは終わらないのがこの物語。最後の展開は予想外、面白かったです。これ、シリーズにならないかしら。2018/08/27
えりこんぐ
76
社員ふたり、超零細企業のトナカイ運送は荷物も人も運ぶ。警察は無理、助けて!逃して!となったら依頼は断らない。後半になるにつれストーリーが重くなっていくけど、2人のキャラのおかげで読みやすかった。腕っぷしが強いわけでもなく、ヒーロー感が全くない2人がかえって良い。子供たちにとってはトナカイさんはヒーローだけどね✨2019/05/19
dr2006
72
緩さと重さのミックスが絶妙なハートフルエンタメ、凄く面白かった。逃がし屋トナカイは訳あり客OKの運送屋だ。結局いつも訳ありの客ばかりだが(笑)性格が正反対の則道と圭介の凸凹コンビが活躍するストーリーは名作多田便利軒(しをん)を想起させ、ぎりぎりの生活や裏稼業の過酷の中で交わされる純粋な思い遣りや無償の人情が、心の奥をそぉっと掴む。名取さんの代表作ペンギン鉄道や金曜日の本屋さんとは違うテイストが新鮮、おススメだ。束縛と不自由に縛られている人は往々それに気づいていない。そこから逃し助け出すのは簡単ではない。2020/08/05
yanae
70
ノーチェックだったのですが、名取さんの名前で即読むこと決定。今のところ名取さんの本で失敗した経験なしなので。表向きは宅配便業者だけど、ひっそり「逃がし屋」を営んでいる二人のお話。少し違うけど、しをんさんのまほろ駅前のイメージに近いかも。もう少しハードだけど。味方だと思った人が?!あの謎の人物が?!とミステリーの要素も多く。クライアント逃がしてもらって幸せになれてよかった♡特に1話目のその後はよかった。逃がし屋の過去は少し重め。今後はどうなるのか気になる。2019/07/28