内容説明
「食堂のおばちゃん作家」が母をモデルに描いた、昭和の女一代記。泣き、笑い、心温まるあの頃の東京下町物語! 千葉・館山の老舗旅館の娘・朝子は、失恋をきっかけに新宿へ。ウェイトレスをやりながら声優を目指すも、突然、下町の鋏工場へ嫁いだ。舅との確執、夫の不倫、愛人との闘いなど、困難を乗り越えて、強く、楽しく、笑顔で生きていく。集団就職、初めてのテレビ、東京オリンピックなど、昭和の世相や風俗を鮮やかに描く、著者初の自伝的小説。母と娘の感動長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
151
著者はもちろんのこと、著者の家族をモデルにした物語でもあり、昭和の出来事を振り返れる物語でもありました。更に、いまもそうだけど、中小企業の大変さもこの物語を通してわかります。現状に満足せず、変化を恐れずに時代の流れに合ったものを作っていかなければと思いました。そういう意味では、朝子は変化もなんのその、いきあたりばったりでも進む姿が羨ましいです。そして、作者のモデルでもある世以子。何もそこまで書かなくても…(笑)。自虐すぎる(笑笑)。ラストの義父とのシーンは素敵でした。コメディな感じで楽しく読めました。2023/11/24
ぶんこ
54
1/3くらいまで読んで、これ読んだことがあるのでは?と思い、あとがきを読むと「あしたの朝子」でした。大きく「工場のおばちゃん」と書いてあり、横にそれより小さい字で「あしたの朝子」と書いてありました。読むそばから忘れる私がいけないのですが、題名は変えないで欲しいとまたしても思いました。2018/10/03
しょこ
43
千葉の老舗旅館の娘(いいとこのお嬢様)が、恋に破れ東京に出奔!そこでいろんな価値観の人々と出会い、持ち前のおおらかさと共に逞しく生きていく人生ドラマだった。不満はありながらもクセの強い舅との半同居をこなし、旦那の浮気にも気丈に構え、なかなか真似できない肝っ玉母ちゃんっぷりに感嘆!「雨のち晴れ」の"ザマ見ろ"と"どんなもんだい"には私もにんまり、胸がスッとした♪緋紗子さんも素敵な人物だったな~。私もいざという時、チラッとでも誰かの脳裏をかすめる人になれたらいいのだが…。おめえの味噌汁…の話も良かった。2018/09/20
pohcho
34
主人公・朝子のモデルは山口さんのお母様とのこと。千葉の老舗旅館の娘・朝子が家出して東京へ。声優を目指していたのに、下町の鋏工場へ嫁ぐことになり。気難しい舅や浮気性の夫に苦労させられながら、子供たちを産み育て、工場を切り盛りし。昭和の母なんだけど湿っぽいところは少しもなく、明るく大らかに生きる姿はとても素敵だと思う。 2018/07/13
to boy
32
初の山口さん。著者の母親をモデルにして終戦直後から現代までの朝子さんを語った物語。NHK朝の連続ドラマにしたら面白いんじゃないだろうか。波乱万丈の人生ながら、一本芯の通った生き方がすがすがしいです。題名で損してるかも。2018/06/15