内容説明
彼らがいたから、強く、深くつながり続けた。
戦前は「日本」であった台湾。戦後に「中国」になった台湾。1990年代の民主化後に自立を目指す台湾。戦争、統治、冷戦。常に時代の風雨にさらされ続けた日本と台湾との関係だが、深いところでつながっていることができた。それはなぜか。 台湾と日本との間を渡り歩いて「結節点」の役割を果たす、多様な台湾出身者の存在があったからである――まえがきより
台湾をルーツに持ち、日本で暮らす在日台湾人=タイワニーズたち。元朝日新聞台北支局長の筆者が、彼らの肖像を描き、来歴を辿りながら、戦後日本の裏面史をも照らす。
【目次】
・蓮舫はどこからやってきたか
・日本、台湾、中国を手玉にとる「密使」の一族 辜寛敏&リチャード・クー
・「江湖」の作家・東山彰良と王家三代漂流記
・おかっぱの喧嘩上等娘、排除と同化に抗する 温又柔
・究極の優等生への宿題 ジュディ・オング
・客家の血をひく喜びを持って生きる 余貴美子
・「551蓬莱」創業者が日本にみた桃源郷 羅邦強
・カップヌードルの謎を追って 安藤百福
・3度の祖国喪失 陳舜臣
・国民党のお尋ね者が「金儲けの神様」になるまで 邱永漢
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
78
台湾に関連している政治家、文化人、実業家、作家ら11 名の、「台湾関係者」としてのプロフィールを分析した本。存命人物には直接に詳細なインタビューを、死去者についてはその息子・娘へのインタビューを。本編には登場せず、終章のみで描かれる、左派の客家の台湾人・戴国煇(たいこくき)の1969年の日本での発言として、「台湾研究をタブー視し、台湾について書く人間を台湾ロビースト視する特殊な日本的雰囲気の存在である」(P.301)とあるのを、「特に鋭い点をついている」と分析していたのが印象に残った。2024/03/24
修一朗
70
蓮舫さんが日本語しか話せないのがコンプレックスだったとおっしゃっているのは,単に日本育ちだからという意味ではなく,家族は台湾語で北京語が話せないという実際上の意味だった。東山彰良さんは親のルーツが中国本土で台湾語はなじみがないし,在日台湾人で北京語が話せない人も多いという。日本で活躍する台湾出身者列伝でありつつ,日本支配および国民党支配を経て台湾人であることを目指す台湾人の複雑な歴史に目を向けろ,という実に興味深い本だった。台湾人というひとくくりにしても日本や母国に向ける思いは実に複雑で多様だ。2018/07/27
TATA
39
台湾と日本と中国の複雑な歴史の狭間にはまり込んだタイワニーズ。多重国籍であったり無国籍であったり自身のアイデンティティーを固める労苦は大変なものだったと考える。だが国家間の亀裂を埋めてくれるのはこういった方々であって、日本に多大な文化的貢献をしてくれた台湾に縁のある人達に感謝する。過去何度か出張で行った台湾の親日度はよく分かっているけれど、決して最初からこうだったわけではないのだと。あと、この本、夜に読んじゃダメ、蓬莱の豚まんが食べたくなることうけあいです(笑)。2019/09/19
kawa
29
テレビで見る金美齢さん(この本ではとりあげられていない)に、尋常ならざる背景を感じていたのだが、こういうことだったのかと思わせる内容。内省人と外省人との対立、台湾独立派の動き、客家等々、取り上げれられている人々は、普通の日本人では考えられない出自や背景、経歴を背負って生きている。3度の祖国喪失として描かれる陳舜臣氏の作品は、機会があればチャレンジしたい。自らを「金儲けの神様」として演出した邱永漢氏(小説家としても卓越していたそうな)が、「投資の成功は10回に2回」には苦笑、私も騙 されていた。2018/09/06
みち
25
今さらながら、日本で活躍するタイワニーズがたくさんいるのだなと思った。波乱の人生を経験しているだけあって、一本筋の通っている人ばかりで、純粋にカッコいいなと思った。 2019/09/01
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