内容説明
討ち入りの真の目的は――(「親心腹」大石内蔵助良雄)/わが人生は裏切りの連続だった――(「応報腹」織田信長)/幕府御用絵師、衝撃の切腹(「持替腹」)/大政奉還直後若年寄とになった外様大名の策とは(「漸く腹」堀長門守直虎)/おいがもっと早くに死んでおれば――(「漸く腹」西郷隆盛)/死の間際まで、夢枕にたった亡霊の正体は――(「不切腹」今川義元) “切腹の間際”を時代小説の雄が描き出す傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
168
切腹に纏わる6人の最期。切腹にもいろいろある。追い腹・詰め腹・諫言腹・無念腹(切腹の手順の逆)・・一気に読めた。息子・主税を思う大石内蔵助ではこんな親心も有りだなぁと思った。そして今なお沢山の謎が多い織田信長。この人抜きでは戦国は語れない。西郷の最期もまた後の世の人の心を離さない。時代が求め、時代に飲み込まれた男・西郷。タイトル『本懐』とはを考えさせられる。ここの6人は本懐を遂げたのだろうか?カバーは介錯を連想されて切ない。2018/06/14
とん大西
113
上田さんの作品はまだ3作目ですが、硬派な作風に魅力を感じています。今回は英雄達の「切腹」、というか忌わの際にまつわる6つの物語。戦国から幕末にかけて天寿を全うすることなく、腹を切らなければならなかった武将達の心奥。現代と死世観は違うにせよ「潔さ」という言葉では片付けられない哀愁と無念、怒り恨みを全編にわたって感じました。中でも大石内蔵助の『親心腹』がいい。斬新な解釈とは感じつつも1話毎の作者の後書きを読むと共感共感。「あるかもしれんなぁ~」と大きく唸ります。信長や西郷の話も見せ場タップリ。読応え大の良作。2018/07/29
ケンイチミズバ
85
徳川による長い長い世襲、その安泰を黒船が揺らした。前例主義を譲らぬ幕閣、進歩的な進言も身分が低いほど上には届かない。何が大老か、お前らこそ皆切腹してしまえ。あー腹立たしい。まるで自分のこれまでの会社人生を見ているようであった。「お手伝い」よいこの日課のことではない。江戸城の改修工事や徳川家檀家の増上寺の改築などを命じられ、名誉として受けることだ。自腹なので外様大名の国元は財政破綻する。色んな理由の切腹があり、どれも無念だ。つめ腹を切るというのは現代にもある。上層部に代わり下が責任を背負う。下っ端は辛いね。2018/06/22
Kaz
37
サムライの責任の取り方としての切腹を題材にした短編集。大石蔵之介、織田信長、西郷隆盛、今川義元などの有名どころから、堀直虎、狩野融川という埋もれていた人々まで、それぞれの思いが胸に迫った。中でも外様から譜代になったが、運に恵まれず幕府が瓦解し朝敵となってしまい、その責を負って果てた堀直虎の話が印象に残った。自らの判断ミスで、藩滅亡の危機を招いた責任をとった彼の振る舞いは、手段の是非はともかく、上に立つもののあるべき姿といえる。2019/07/04
aloha0307
24
まず「まえがき」におや?切腹について詳述が。切腹の話ですから失敗・無念という感情があるはず、いっぽう書名は 本懐~読めば理由が判りますよ 本編には6つの切腹の場面。白眉は大石内蔵助「親心腹」 これまでにない死生観の発露です。我慢が足りず、家 を改易にさせた内匠頭 そして嫡男:主税を切腹に導いた同胞への呪詛に背筋が凍ります。人間ってなんと愚かで、怠惰で、儚いものなのか...2018/10/28
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