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内容説明
ドイツ軍の電撃的侵攻の前に敗走を重ね、機能不全に陥ったフランス軍。危険だがもはや無益に等しい偵察飛行任務を命じられた「私」は、路上に溢れる避難民を眼下に目撃し、高空での肉体的苦痛や対空砲火に晒されるうち、人間と文明への《信条》を抱くに至る。著者の戦争体験に基づく小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
141
捨て身同然な戦地最前線の偵察飛行を命じられたサン=テグジュペリ大尉の思索の軌跡。往路では戦争や任務の無益さが述べられ、彼の想念は死ぬ意味を求めて現在と過去を縦横無尽に行き来する。それは対空砲火を契機に一気に高揚し、生命の陶酔と厳かな歓喜に包まれる。《人間》の本質を「行為そのもののなか」に見出した彼の弁舌は、「各々が全体に対して責任を負っている」と行動を促す。本書は中立を決め込む米国に留まらず、《普遍的なもの》を疎かにして《平等》を《同一性》と混同したヒューマニズムが拠り所を失う現在にも深く訴えかけてくる。2021/11/27
藤月はな(灯れ松明の火)
98
読み始めた時は、最早、無駄死にに通じるような任務やそれに向かう仲間たちの心配などで悪態つきながらも自らが信じる責務を果たそうとする作者の姿に『ダンケルク』のファリアや『紅の豚』のマルコを重ねていた。ところが命の危機や避難民からの批判、目の前で撃墜されていく戦友たちと向き合っていく内に得た考えに心の底から震えることになる。「肉体は実は執着するものではなかった」や「自らの<存在>を築き上げるのは言葉ではなく、ただ行動だけなのだ」という宮澤賢治作品にも通じる「人間である事は」という希望に満ちているのを感じた2018/05/30
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78
🌟🌟🌟🌟☆☆。(ややオマケ🌟×3.8くらい)去年、生まれて初めてちゃんと『星の王子さま』を読み終えた後「次はコレにしよう。」と思い選書。なんと言えば良いのだろう。とにかく、戦闘機のコクピットに搭乗している臨場感が凄い。行間から息づかいが聞こえてくるようでこっちまで若干息づかいが伝染するよう。大空を飛びながら虚構や幻想、幻聴、哲学、観念等、様々な思いに囚われながらその都度現実に引き戻される。一度読んだだけでは捉えきれない重厚な内容。新品で買って良かった。再読の機会を楽しみにしよう。2022/02/09
青色夜ふかし
58
「死は大変なことだ。世界を再編する。昨日と同じ文章も違って見える。」◉サン=テグジュペリの体験を元に書かれた戦争小説。著者の夢想、哲学的分析が度々記される。◉舞台は第二次大戦下のフランス。1940年5月23日。ナチス・ドイツの侵攻を前にフランス軍は劣勢に陥る。アラスに集結したドイツ戦車部隊の所在を確認すべく、偵察飛行に出撃。◉戦争を冷めた目で分析。フランス軍劣勢の中コントロールを失った組織の中で、予定調和で従う兵士。人間性は否定され、無意味なことを、型にはめられ要求される。私は現代社会の暗喩。だと捉えた。2018/04/22
はっせー
52
読書会の課題本。サン=テグジュペリの実体験を元にした小説。ドイツ軍が迫り来る中、偵察任務を命じられた。そんな偵察任務が終わるまでを描いた作品。戦闘シーンより思考の部分が多く占めている。考えさせられるものばかりであり、語りがいがあるように思えた。哲学的でどこか優しい。星の王子さまにも通じる部分があった!2024/09/27
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