内容説明
日本史の大転換点において、「私」ではなく「公」を貫き、時代の大局を見据えて歴史の歯車を動かした男・勝海舟。ペリーの黒船が来航し、驚天動地の騒ぎのさなか、蘭学者・兵学者の勝は冷静に先を見通した。動乱のなかに国家統一の構想を固め、自らの使命を求めて動く。有力な幕臣となった勝は、複雑で重い運命を背負い、薩摩の西郷隆盛との大交渉劇「江戸開城」を演じる。江戸は焼かれず、近代国家の首都、東京に継承された。そして、明治維新へ。勝は、新政府の高官を辞し、政治の表舞台を去っても、日清戦争、十九世紀末まで、対話者の背後に流れる時勢と向き合い続けた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kana
40
海舟先生のことを何故今までちゃんと知らなかったんだろうと、悔しくなるような骨太な内容。勝海舟記念館に行くための予習として、普段は絶対読まないジャンルながら手に取ったのですがこれがもう大正解!時に臨場感溢れる会話形式で大交渉の顛末を語り、時に世界史的背景を紐解き当時の政情を解説し、読み終えた頃には血生臭く少し距離を置いていた幕末維新の歴史が、自身のアイデンティティの一端を担っているんだと目を開かされるような思いがしました。優れた剣術使いでありながら非戦を生涯貫く様に痺れる。彼は今の日本をどう捉えるんだろう。2019/10/13
mikio
8
江戸城総攻撃において官軍から病院の世話を依頼されたイギリス公使パークスは、「徳川慶喜は恭順ということである。その恭順をしておるものに戦争を仕掛けるとは、どういうことか。いずれの国でも恭順、すなわち、降伏しているものを相手に戦争はしないはずだ。」といった。西郷はこれを聞いて、官軍側に害があると知り、「それはかえって幸いであった」と言い、勝との交渉にいどんだという。官軍側に肩入れ、または内戦で弱らせて。。といった考えには向かわず万国公法を遵守したイギリス(パークス)は陰の無血開城の立役者といえる。2022/07/02
hitsuji023
5
いろんな能力はあるだろうが、一番は諦めないこと。そして、頼りにされるだけの能力を日頃から養っておくことだと思った。2023/06/04
aki
2
咸臨丸で米国を渡る航海で、勝は病に苦しみ、大半を船室で寝てすごした。当然、船長としての役割は果たせないから、だれかに権限を委ねる必要があったが、なんのこだわりがあるのか、なかなか譲ろうとしない。やっと同乗の米国人に委譲したのは米国本土が近づいてからだった。というぐあいにプライドがへんに高いのよね。自身がプライドを捨て出馬すれば、さらに、いろいろなことを実現できたと思うが、もったいぶっているというか、(失敗する)未来が見えるのか、自邸に引きこもっているうちに事態が悪化してしまう。メンツを捨てきれないのよね。2023/03/05
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