内容説明
【著者の言葉(図々しい自己宣伝)】
この小説は私の処女作です。87年に初版が出てからすでに30年余。豊田商事事件を扱ったという事実が独り歩きして、「事件小説」として受け取られている感がありますが、じっさいは出版当時のポストモダンの思潮の中で、どのような小説が書けるのか? 思考の実験を試みる気分でいろいろ試行錯誤しながら書いた覚えがあります。
だからかどうか、現在、80年代後半のバブルを先駆的に扱った小説として、注目してくださる向きがあることを、少々面映ゆく、しかし、いくぶんか誇らしげに感じる自分がいます。
小説は抜きがたく時代や世代に結びついたものですが、当時を知らない若い人たちが興味を持って紐解いてくれるとしたら、こんなに嬉しいことはありません。最近の小説の味わいとはまた違った当時の小説状況を振り返ったり、確認するためにも案外と有意味かもしれない――と、ここではせいぜい気張って自己宣伝したいと思います。どうぞ、よろしく!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
0
著者のデビュー作。昭和の終わり頃、バブルの膨張をコンピュータゲームに見立てて非現実感ただようカネのやり取りを描いていく。ついでに「国家が一番の自転車操業だ、年金は破綻が約束されている」ともある。ところで牛肉育成投資機構の安愚楽牧場が負債4600億と戦後最大の破綻という。長年運用しただけにAIJよりも上か。「うまい話には裏がある」「リスクの無い投資は無い」ぐらいは学校で教えても欲しいが、そうすると「金持ちはどんどん資産を殖やし、貧乏人が這い上がるのは人一倍努力も幸運も必要」という当たり前すぎる結論になるか2013/06/18