角川文庫<br> ザ・スパイ

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角川文庫
ザ・スパイ

  • ISBN:9784041058602

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内容説明

「わたしの最大の罪は、男たちが動かしている世界にあって自由で自立した女だったということ」――。
 1917年10月15日、パリ。第一次大戦下のフランスで、謎に包まれた一人の女性、マタ・ハリが、二重スパイの罪で銃殺刑となった。彼女は本当にスパイだったのか。
 世界的ベストセラー作家が、多くの史料にあたりながら、その美貌と妖艶な踊りで多くの男たちを虜にした女性の、悲しくも激しい数奇な人生を描いた話題作。

【もくじ】

プロローグ
第 一 部
第 二 部
第 三 部
エピローグ
著者あとがき

訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

137
マタ・ハリをどう捉えるか。コエーリョの創るマタ・ハリは、虚栄から身を滅ぼした。思い上がり、贅沢、不相応、大言壮語、そんな彼女の性質が、彼女の運命を彼女のコントロールできないところに持っていく。しかし、本人は意外と満足しているかもしれない。皆の記憶に残るのは、むしろグレタ・ガルボの美しい姿。コエーリョの様に彼女の真の姿を切り取って見ようとしなければ、皆が思い描くのは、美しいままの伝説の女スパイ。コエーリョは、彼女に寄り添ったのか、もしくは、暴き出すために利用したのか...。2018/08/23

たぬ

33
☆4 世界的ベストセラーの『アルケミスト』が今一つだったからコエーリョには抵抗があったのだけど、これは薄いし大丈夫かなと。マタ・ハリがオランダ人ということは初めて知ったし彼女の人生もとても興味深く読むことができた。これを読む限りだと処刑されるほどの罪を犯したとはとても思えないんだよなあ。2021/10/09

マリリン

31
父や母を責める気持ちはない。私を生み育てる場所を間違えたと思う。二重スパイという罪で銃殺刑にされたマタ・ハリ。約一世紀前に実在していた人物とは知らなかったが、数奇で波乱な人生の中、母が亡くなる前に渡したヒマワリの種に込めた思いは伝わらなかったのか。 愛するという事は他人を信じる事。 自分の存在を否定してはいけない 運命とともに明るく歩み 花はその盛りに...後に種を残し...神の仕事を次に託す。ふと一人娘を想ったマタ・ハリの脳裏にこの言葉は蘇ったのか。刑を受ける姿からはすべての想念が消えた凛々しさを見た。2019/04/08

James Hayashi

28
マタ・ハリを描いたもの。残る手紙か日記から女スパイという代名詞を抱くマタ・ハリを描こうとしているが、紙幅も薄く内容も薄い。第一次世界大戦や当時の状況も把握できないし、彼女がスパイであったのか、当時の著名人の行動なども真偽がわからず何を描きたいのか伝わってこなかった。2020/12/14

コージー

24
★★★☆☆第一次大戦下で男達を魅了した女性スパイ、マタ・ハリの人生を描いた作品。史実に基づいた物語である。マタ・ハリは、フランスとドイツの二重スパイとして銃殺刑に処されてしまう。女性の尊厳を踏みにじられながらも、自由と自分らしさを求めて自らの姓を捨て、踊り子マタ・ハリの人生を演じきった。苦難に打ちひしがれることなく、自分を信じ果敢にチャレンジしてゆく彼女の姿に、私は感服した。彼女のような人こそ、最期は報われてほしかったと切に願うが、生きた時代が悪かったのだろうか。2022/12/11

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