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内容説明
根津の鍼医宗悦が、貸金の催促から旗本の深見新左衛門に殺された。新左衛門は宗悦の霊と誤り妻を殺害し、非業の死を遂げ家は改易。これが因果の始まりで、新左衛門の長男新五郎と次男新吉を不幸が襲う。新吉は宗悦の娘で富本の師匠の豊志賀と深い仲に。豊志賀は弟子お久と新吉の間を疑い、7人の女房を取り殺すと書き残し死ぬ……続く血族の殺し合いは前世の因縁か呪いのためか。円朝の代表作にして最高峰。解説・小松和彦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
159
しばらくまえに、寄席で「豊志賀の死」を聴く機会があった。全編通して読むと、豊志賀はほんの序の口にすぎない、ということがよくわかる。豊志賀のまえもうしろも、これでもかというほど累ねられていく不幸の数々。なんの因果か因縁か、はたまた怨念なのか呪いなのか。男も女も、お侍も百姓も、村の名主も悪党も、お相撲さんまで出てきて大騒ぎ。世に幽霊というものはない、と開化先生はいうけれど、わたしはたしかに、そのとき幽霊をみたのだ。わたしたちの神経が幽霊を生み出す。悪事ははたらくものではない。お天道様はきっとみているのだから。2018/09/29
花乃雪音
28
三遊亭圓朝の代表作の1つ。初めの怪談話より後半の敵討ちに悪人の改心が噺の主だったものとなる。しかし、「宗悦殺し」における悪人新左衛門の死に様はまさに勧善懲悪であるが「お熊の懺悔」におけるお熊、お賤、新吉の改心または死に様はこれまでの行いを見ているとこの程度で改心するかと疑問に思う。そこに至る過程が描かれていないことも理由と思われる。「お熊の懺悔」の枕において圓朝は体調不良により延期していた高座をなんとか再開できたことを述べているが、自分が高座に出れるうちに風呂敷を畳もうと急いだように思えた。2021/08/29
ヒロくま
20
動画では何度か見聞きてしてはいたけれど、一度きちんと通しで読んでみたいと思い本書を購入。因縁と因果に満ち、怨み辛みの渦巻く中、屍が一つ、又一つと増えて行く様には凄味があり、超大作ながら最後まで気が抜ける事なく話を味わえました。現代のイヤミスも良いけど、最後は大団円で締め括るお話しはやっぱり良いなあと思いました。2018/10/09
ぐっちー
13
明治時代に数々の名作落語を残した三遊亭圓朝作の怪談話。YouTube で歌丸さんの高座を聞いてましたが、とても長い噺なので途中から人間関係を見失ってしまう(笑)冒頭で圓朝は幽霊は多分いない、と語る。西洋の文化が入ってきた明治の時代に敢えて怪談を語る。何だかそれだけでワクワクする。宗悦殺し、豊志賀の死、お累の自害と続けざまに起こる死が恨みを呼び不吉な呪いが連鎖する。ところが中盤から因縁悪縁に捕らわれた人間の応報の物語へと変化。当時誰もが知っていた怪談の累ヶ淵への圓朝のオマージュ作品という点も興味深い。2018/06/30
ホシナーたかはし
10
タイトルは知っていても内容を知らなかったので購入。怪談というより因果因縁の話。出てくる女性が男に惚れて酷い事をされる度、何故かドリフの志村さん「志村うしろうしろ」ダチョウ倶楽部の上島さん「押すなよ絶対押すなよ」を連想してしまいました。これはCDと合わせて怖がるべき作品。2018/07/18