内容説明
ケシの実、青カビ、ブタの膵臓……人類はあらゆる材料を駆使して新薬を創りだしてきた! 創薬の第一線で35年にわたり活躍する研究者が、先人たちの飽くなき挑戦の歴史を描き出す。薬に対するあなたの理解を一変させる科学ノンフィクション。解説/佐藤健太郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
102
著者は製薬会社で長年、創薬の研究に従事。人類は長い歴史の間、だれもが新薬の狩人であり、苦痛を和らげてくれることを願って当てずっぽうに木の根や葉っぱを噛んだ。細菌もウイルスも知らない時代、たまさかの幸運により幾つかの薬草が得られた。近代に入り化学の知見に基づき、アヘンやキニーネそして合成化学による鎮痛薬(アスピリン)、微生物由来の抗菌薬(ペニシリン)、バイオ医薬品としてインスリンなどが開発されてきたが、創薬プロジェクトには臨床試験を含め、莫大な資金と時間が必要。薬として世に出るのは僅か0.1%に過ぎない。2020/10/30
夜長月🌙@5/19文学フリマQ38
71
過去を振り返って人類の輝かしい成功の影にある忘れられたストーリーと共に画期的な医薬品を紹介しています。ペニシリン、アスピリン、初めてのワクチンなどに知られざる歴史があることがわかります。ついで未来の新薬の発見について考える時、科学技術が進歩しても次々と新薬がでる時代ではなくなっていることに気付かされます。それほど人体の仕組みとは複雑でまだまだブラックボックスなのです。2021/09/29
TATA
37
先史からの製薬産業の成り立ちから化学者達の苦悩迄をつぶさに語る一冊。前半は植物由来の薬が徐々にその原料の範囲を広げ、また合成化学の手法を活用するに至るまでを詳述。後半は安全性審査やピルが社会に与えた影響にも言及。まるでサイモン・シンの作品を読んでるかと思うほどの迫力です。筆者は製薬業界で長年尽力した方。自身の経験も交えて非常に興味深く読まされます。理系の話に興味がある方にはオススメです。2018/09/23
くさてる
31
面白かった!薬の開発の話、ということで難しい化学式が並ぶような内容かと思ってたら、ずっとドラマティックで小説のように読みやすかったです。新薬開発の歴史といまでも使われている有名薬の誕生秘話、いまだに「どうして効いているのか分からない」けれど効く薬が広く使われていることまで、興味深く読めました。おすすめです。2019/01/26
zoe
24
多分、初心者向けだと思うのです。訳者の方や解説の方は既に、それぞれの人生を歩んでおられると思います。後書きや解説を読んでみると、かなりの確率で選んだかもしれないもう一つの人生を想像しているかもなと思いながら読んでしまいました。とても変な気分です。2018/07/25