内容説明
近代日本の始まりは、ペリー来航ではなく、かつては天保の改革とされていた。高度成長期の公害問題が起こるまで、田中正造は忘れられた存在だった―。歴史は、新史料発見・新解釈により常に書き替えられる。特に近現代史は、時々の政治・社会状況の影響を受けてきた。本書は、マルクス主義の影響下にあった社会経済史をはじめ、民衆史、社会史という三つの流れから、近現代の歴史がどのように描かれ、修正されてきたかを辿る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
33
私たちはなぜ歴史に向き合うのか。なぜ歴史を語るのか。事実は変わらない。しかしその事実から読み解くのは今を生きる私たちの役割である。様々な歴史学者の論考を示しながら、戦後歴史学が近現代史をどのように読み込んできたのか、多くのことを学べた。2019/12/23
樋口佳之
26
本書の原型は、歴史の教員を目指す学生たちへの講義にあります。歴史の教員となったときに、史学史を踏まえた歴史教育を行ってほしいという思いからの講義/こういう素養持たれた先生に教わったらなあという思いもあり、現実には授業で活かせる余地あるのという疑問もあり。/2019/01/24
佐島楓
15
サブタイトルに印象付けられるほどの批判的な内容ではないように思う(あくまで事実列挙)。内容は易しくはないため、歴史好きの高校生~研究対象にしている大学生以上向きといったところか。研究上の観点をどこに置くかで解釈が変わってくるということを知るにはいいが、本の性格上参考文献を引用する形が多くなってしまっているところがちょっと不満といえば不満。2012/04/11
Michael S.
13
戦後歴史学へのマルクス主義の影響を知りたく思っていたところ,SNSで紹介してもらった本.この本は高校教科書の記述の根拠となっている重要な文献を中心に戦後歴史学の変遷を三つの時期に分けて述べている.その第一期はマルクス主義(史的唯物論)の影響を受けて「構造の解明」に力点を置いた歴史記述が主流であったこと,その後第二期,第三期は前時代を批判的に継承しつつ重層的に積み重なる. 歴史家自身が「時代の子」であり自身の体験やリアルタイムの政治・社会状況などに影響を受けているとのことが変化の動因と思われる.(続) 2021/05/02
ロッキーのパパ
10
歴史は歴史家や研究者などの解釈によって語られる。普段はその語られる「こと」を読むことが多い。本書は語る側の研究者に着目している点が目新しい。ただ、扱っている時代が幅広いため、登場する研究者が多く一人ひとりの解釈については消化不良に終わってしまった。正統な歴史研究を目指すことに向いているけど、ファンとして歴史を楽しむにはちょっと難しい内容かなと感じた。2012/03/24
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