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内容説明
<本と日本史>は「本」のあり方から各時代の文化や社会の姿を捉え、当時の世界観・価値観の実態を考察する歴史シリーズ。第二巻の本書が扱うテーマは「遣唐使」である。だが実証的な遣唐使ではない。12世紀末から13世紀初頭にかけて制作された『吉備大臣入唐絵巻』を中心に、19世紀にまで連なる後代に仮構された遣唐使<像>を検討する。大国への対抗意識や異国・異境への尽きぬ思いが託された幻想の中の遣唐使は、日本の劣等感と優越感がないまぜになった東アジア文化交流の象徴でもあった。そして今なお、時代を超えた国際関係のあり方を探る拠り所として、複眼的な視点を提供し続けるのである。 【目次】まえがき/第一章 吉備真備――人物と文物/第二章 『江談抄』を読み解く――絵巻への道/第三章 『吉備大臣入唐絵巻』の形成と世界/第四章 遣唐使の神話と伝説/終章 東アジアの回路へ/あとがき/参考文献
目次
まえがき
第一章 吉備真備――人物と文物
第二章 『江談抄』を読み解く――絵巻への道
第三章 『吉備大臣入唐絵巻』の形成と世界
第四章 遣唐使の神話と伝説
終章 東アジアの回路へ
あとがき
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クサバナリスト
13
去年、コロナの影響で中止となったボストン美術館展で里帰り予定だった「吉備大臣入唐絵巻」が副題としてあったので読んだ。 当絵巻に関しての解説というより本題の「外交神話」がどのように形成されていったかが述べられている。これはこれで、参考になった。2021/05/09
さとうしん
6
副題に「『吉備大臣入唐絵巻』を読む」とあるが、絵巻はあくまで遣唐使にまつわる資料のひとつという扱い。阿倍仲麻呂・吉備真備らの話と新羅の崔致遠の話や、あるいは現代の香港・パリで消えた花嫁の都市伝説とを対比し、海外に出た者のイメージを追ったり、彼らの話を外交にまつわる起源としての「外交神話」と位置づける視点が面白い。2018/06/11
africo
4
遣唐使そのものではなく、その後の遣唐使イメージを追う。「従来の歴史学が追求してきた遣唐使とはまた異なる遣唐使を描く試み」「遣唐使に託して生み出された説話・物語群の意味するものは何か。」とあるように、吉備大臣入唐絵巻を中心に後世の遣唐使像を読解をしている。ただ、ロマンチックが過ぎていたり、結論に飛躍を感じたりで、残念ながらどうも馴染めない。著者は日本文学の研究者らしいが、読みの提示が文学研究の役割という事かも知れないし、何がしかの理論があるのだろうが、私はそちらの方面が昏すぎて疑問符ばかり浮かんでしまった。2021/03/29
不純文學交遊録
4
平成30年7月豪雨で甚大な被害に見舞われた岡山県倉敷市真備町ゆかりの人物、吉備真備。二度の遣唐使、70歳で藤原仲麻呂の乱を平定し、当時としては長命の81歳まで生きた真備の超人的な活躍を描くのが『吉備大臣入唐絵巻』である。本書は史実ではなくフィクションとしての遣唐使に秘められた日本の異国観、外交意識を探る。絵巻のクライマックスは謎の予言書『野馬台詩』の解読だが、そもそも『野馬台詩』がいかなる書か(例えば邪馬台国と関係あるの?)という説明は不足。そこは著者の別の本を読みなさいとのことか。2018/07/22
つ
0
だいたい読了2021/06/26
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